本発明は、材料光学定数の確定方法、材料データベースの拡張方法及び装置に関する。前記材料光学定数の確定方法は、エリプソメトリテストパラメータベクトルを取得し、機械学習モデルにより前記エリプソメトリテストパラメータベクトルに対応する材料光学定数を得るステップを含む。前記機械学習モデルは、エリプソメトリテストパラメータベクトルと材料光学定数とのマッピング関係を含む。前記材料光学定数の確定方法は、前記機械学習モデルによりエリプソメトリテストパラメータベクトルの自動的なフィッティングを実現する。前記材料光学定数の確定方法は、機械学習モデルを用いて材料の光学定数を計算することにより、実験者の経験を頼ることなく、作業者に対する要求が低下し、材料の光学定数を計算するときにデータ曲線のフィッティング速度が速くなり、計算効率が高くなる。
【請求項1】
材料光学定数の確定方法であって、
材料のエリプソメトリテストパラメータベクトルを取得ステップと、
前記エリプソメトリテストパラメータベクトルを機械学習モデルに入力し、前記エリプソメトリテストパラメータベクトルに対応する材料光学定数を得るステップと、を含み、
前記機械学習モデルは、前記エリプソメトリテストパラメータベクトルと前記材料光学定数とのマッピング関係を含み、
前記機械学習モデルの構築方法は、
前記エリプソメトリテストパラメータベクトルと材料光学定数とのマッピング関係に基づいて初期モデルの各ニューラルネットワーク層を構築するステップと、
エリプソメトリテストパラメータベクトル及び材料光学定数を含むサンプルデータを構築するステップと、
前記サンプルデータを用いて前記初期モデルの各ニューラルネットワーク層を訓練することで、前記機械学習モデルを得るステップと、を含み、
前記サンプルデータを用いて前記初期モデルの各ニューラルネットワーク層を訓練することで、前記機械学習モデルを得るステップは、
前記サンプルデータを訓練セット、検証セット及びテストセットに分けるステップと、
前記訓練セット及び前記検証セットをそれぞれ前記初期モデルに入力し、前記初期モデルを最適化処理し、最適化モデルをリアルタイムで記録するとともに、訓練データの誤差曲線及び検証データの誤差曲線を生成するステップと、を含み、
さらに、全ての最適モデルから検証セット上でパフォーマンスが最も高いM個の最適化モデルを選択し、前記M個の最適化モデルの複数種のパラメータのそれぞれについて平均値を計算し、第2最適化モデルを得るステップと、前記テストセットにおける入力パラメータをそれぞれ前記第2最適化モデルに入力し、前記第2最適化モデルにより計算して第2出力パラメータを取得し、前記第2出力パラメータと前記テストセットにおける出力パラメータの誤差を判断し、前記誤差が所定範囲内である場合、前記第2最適化モデルは前記機械学習モデルであるステップと、を含む、又は、
さらに、全ての最適化モデルからN個の最適化モデルをランダムに選択し、前記N個の最適化モデルの複数種のパラメータのそれぞれについて平均値を計算し、第3最適化モデルを得るステップと、前記テストセットにおける入力パラメータをそれぞれ前記第3最適化モデルに入力し、前記第3最適化モデルにより計算して第3出力パラメータを取得し、前記第3出力パラメータと前記テストセットにおける出力パラメータの誤差を判断し、前記誤差が所定範囲内である場合、前記第3最適化モデルは前記機械学習モデルであるステップと、を含む、材料光学定数の確定方法。
【請求項2】
前記サンプルデータを用いて前記初期モデルの各ニューラルネットワーク層を訓練することで、前記機械学習モデルを得るステップは、
前記エリプソメトリテストパラメータベクトルを前記初期モデルに入力し、現在出力データを得るステップと、
前記現在出力データと対応する前記材料光学定数との差を計算し、前記差が所定値以上である場合、前記差に基づいて前記初期モデルの各ニューラルネットワーク層のネットワークパラメータを調整するステップと、
前記差が所定値未満になるまで前記差を反復計算するステップを実行した場合、初期機械学習モデルの各ニューラルネットワーク層が収束すると判断し、前記機械学習モデルを得るステップと、を含む、請求項1に記載の材料光学定数の確定方法。
【請求項3】
前記サンプルデータを用いて前記初期モデルの各ニューラルネットワーク層を訓練することで、前記機械学習モデルを得るステップは、
前記サンプルデータを訓練セット、検証セット及びテストセットに分けるステップと、
前記訓練セット及び前記検証セットをそれぞれ前記初期モデルに入力し、前記初期モデルを最適化処理し、最適化モデルをリアルタイムで記録するとともに、訓練データの誤差曲線及び検証データの誤差曲線を生成するステップと、
前記検証データの誤差曲線の誤差が減少しなくなった時点での最適化モデルを第1最適化モデルとして取得するステップと、
前記テストセットにおける入力パラメータをそれぞれ前記第1最適化モデルに入力し、前記第1最適化モデルにより計算して第1出力パラメータを取得し、前記第1出力パラメータと前記テストセットにおける出力パラメータの誤差を判断し、前記誤差が所定範囲内である場合、前記第1最適化モデルは前記機械学習モデルであるステップと、を含む、請求項1に記載の材料光学定数の確定方法。
【請求項4】
訓練セット、検証セット及びテストセットにおける前記サンプルデータは、同種のサンプルデータである、請求項1から3のいずれか1項に記載の材料光学定数の確定方法。
【請求項5】 異なる波長範囲に対応する入力パラメータが同じ波長範囲に対応するように前記サンプルデータを調整するステップと、
異なるタイプの前記入力パラメータが同じオーダーとなるように、前記サンプルデータにおける前記入力パラメータを正規化処理するステップと、をさらに含む、請求項1に記載の材料光学定数の確定方法。
【請求項6】
既知のエリプソメトリテストパラメータベクトル及び前記機械学習モデルにより計算して得られた材料光学定数をそれぞれ更新データの入力パラメータ及び更新データの出力パラメータとするステップと、
前記更新データの入力パラメータを前記機械学習モデルに入力し、現在更新出力データを得るステップと、
前記現在更新出力データと前記更新データの出力パラメータとの差を計算し、前記差が所定値以上である場合、前記差に基づいて前記機械学習モデルの各ニューラルネットワーク層のネットワークパラメータを調整するステップと、
前記差が所定値未満になるまで前記差を反復計算するステップを実行した場合、初期機械学習モデルの各ニューラルネットワーク層が収束すると判断し、前記機械学習モデルの更新を完成するステップと、をさらに含む、請求項1から3のいずれか1項に記載の材料光学定数の確定方法。
【請求項7】
前記エリプソメトリテストパラメータベクトルは、エリプソメトリテストパラメータベクトル(Δ,Ψ)、を含み、
前記エリプソメトリテストパラメータベクトル(Δ,Ψ)は
請求項6に記載の材料光学定数の確定方法。
【請求項8】
前記機械学習モデルは、畳み込みニューラルネットワーク、完全接続ニューラルネットワーク又は循環ニューラルネットワークのうちの1種又は複数種を含む、請求項1から3のいずれか1項に記載の材料光学定数の確定方法。
【請求項9】
材料データベースの拡張方法であって、
テスト材料のエリプソメトリテストパラメータベクトルを取得するステップと、
前記エリプソメトリテストパラメータベクトルを機械学習モデルに入力し、前記エリプソメトリテストパラメータベクトルに対応する材料光学定数を得るステップと、
既知の材料データベース中で前記テスト材料の光学定数を検索するステップと、
前記既知の材料データベースに前記テスト材料の光学定数が存在しない場合、テスト材料のエリプソメトリテストパラメータベクトル、前記エリプソメトリテストパラメータベクトルに対応するテスト材料の光学定数を前記既知の材料データベースに拡張するステップと、を含み、
前記機械学習モデルの構築方法は、
前記エリプソメトリテストパラメータベクトルと材料光学定数とのマッピング関係に基づいて初期モデルの各ニューラルネットワーク層を構築するステップと、
エリプソメトリテストパラメータベクトル及び材料光学定数を含むサンプルデータを構築するステップと、
前記サンプルデータを用いて前記初期モデルの各ニューラルネットワーク層を訓練することで、前記機械学習モデルを得るステップと、を含み、
前記サンプルデータを用いて前記初期モデルの各ニューラルネットワーク層を訓練することで、前記機械学習モデルを得るステップは、
前記サンプルデータを訓練セット、検証セット及びテストセットに分けるステップと、
前記訓練セット及び前記検証セットをそれぞれ前記初期モデルに入力し、前記初期モデルを最適化処理し、最適化モデルをリアルタイムで記録するとともに、訓練データの誤差曲線及び検証データの誤差曲線を生成するステップと、を含み、
さらに、全ての最適モデルから検証セット上でパフォーマンスが最も高いM個の最適化モデルを選択し、前記M個の最適化モデルの複数種のパラメータのそれぞれについて平均値を計算し、第2最適化モデルを得るステップと、前記テストセットにおける入力パラメータをそれぞれ前記第2最適化モデルに入力し、前記第2最適化モデルにより計算して第2出力パラメータを取得し、前記第2出力パラメータと前記テストセットにおける出力パラメータの誤差を判断し、前記誤差が所定範囲内である場合、前記第2最適化モデルは前記機械学習モデルであるステップと、を含む、又は、
さらに、全ての最適化モデルからN個の最適化モデルをランダムに選択し、前記N個の最適化モデルの複数種のパラメータのそれぞれについて平均値を計算し、第3最適化モデルを得るステップと、前記テストセットにおける入力パラメータをそれぞれ前記第3最適化モデルに入力し、前記第3最適化モデルにより計算して第3出力パラメータを取得し、前記第3出力パラメータと前記テストセットにおける出力パラメータの誤差を判断し、前記誤差が所定範囲内である場合、前記第3最適化モデルは前記機械学習モデルであるステップと、を含む、材料データベースの拡張方法。
【請求項10】
前記エリプソメトリテストパラメータベクトルに対応するテスト材料の光学定数が未知の新材料に属するか否かを検証するステップと、
前記エリプソメトリテストパラメータベクトルに対応するテスト材料の光学定数が未知の新材料に属する場合、未知の新材料の名称を前記既知の材料データベースに拡張するステップと、をさらに含む、請求項9に記載の材料データベースの拡張方法。
【請求項11】
前記エリプソメトリテストパラメータベクトルに対応するテスト材料の光学定数がいかなる未知の新材料にも属しない場合、前記機械学習モデルをさらに更新するステップをさらに含む、請求項10に記載の材料データベースの拡張方法。
【請求項12】
材料光学定数確定装置であって、
テスト材料のエリプソメトリテストパラメータベクトルを取得するエリプソメトリテストパラメータベクトル取得モジュールと、
前記エリプソメトリテストパラメータベクトルを機械学習モデルに入力し、前記エリプソメトリテストパラメータベクトルに対応する材料光学定数を得る材料光学定数確定モジュールと、を含み、
前記機械学習モデルは、エリプソメトリテストパラメータベクトルと材料光学定数とのマッピング関係を含み、
前記機械学習モデルの構築方法は、
前記エリプソメトリテストパラメータベクトルと材料光学定数とのマッピング関係に基づいて初期モデルの各ニューラルネットワーク層を構築するステップと、
エリプソメトリテストパラメータベクトル及び材料光学定数を含むサンプルデータを構築するステップと、
前記サンプルデータを用いて前記初期モデルの各ニューラルネットワーク層を訓練することで、前記機械学習モデルを得るステップと、を含み、
前記サンプルデータを用いて前記初期モデルの各ニューラルネットワーク層を訓練することで、前記機械学習モデルを得るステップは、
前記サンプルデータを訓練セット、検証セット及びテストセットに分けるステップと、
前記訓練セット及び前記検証セットをそれぞれ前記初期モデルに入力し、前記初期モデルを最適化処理し、最適化モデルをリアルタイムで記録するとともに、訓練データの誤差曲線及び検証データの誤差曲線を生成するステップと、を含み、
さらに、全ての最適モデルから検証セット上でパフォーマンスが最も高いM個の最適化モデルを選択し、前記M個の最適化モデルの複数種のパラメータのそれぞれについて平均値を計算し、第2最適化モデルを得るステップと、前記テストセットにおける入力パラメータをそれぞれ前記第2最適化モデルに入力し、前記第2最適化モデルにより計算して第2出力パラメータを取得し、前記第2出力パラメータと前記テストセットにおける出力パラメータの誤差を判断し、前記誤差が所定範囲内である場合、前記第2最適化モデルは前記機械学習モデルであるステップと、を含む、又は、
さらに、全ての最適化モデルからN個の最適化モデルをランダムに選択し、前記N個の最適化モデルの複数種のパラメータのそれぞれについて平均値を計算し、第3最適化モデルを得るステップと、前記テストセットにおける入力パラメータをそれぞれ前記第3最適化モデルに入力し、前記第3最適化モデルにより計算して第3出力パラメータを取得し、前記第3出力パラメータと前記テストセットにおける出力パラメータの誤差を判断し、前記誤差が所定範囲内である場合、前記第3最適化モデルは前記機械学習モデルであるステップと、を含む、材料光学定数確定装置。
【請求項13】
材料データベースの拡張装置であって、
テスト材料のエリプソメトリテストパラメータベクトルを取得するエリプソメトリテストパラメータベクトル取得モジュールと、
前記エリプソメトリテストパラメータベクトルを機械学習モデルに入力し、前記エリプソメトリテストパラメータベクトルに対応する材料光学定数を得る材料光学定数確定モジュールと、
既知の材料データベース中で前記テスト材料の光学定数を検索する検索モジュールと、
前記既知の材料データベースに前記テスト材料の光学定数が存在しない場合、テスト材料のエリプソメトリテストパラメータベクトル、前記エリプソメトリテストパラメータベクトルに対応するテスト材料の光学定数を前記既知の材料データベースに拡張する拡張モジュールと、を含み、
前記機械学習モデルの構築方法は、
前記エリプソメトリテストパラメータベクトルと材料光学定数とのマッピング関係に基づいて初期モデルの各ニューラルネットワーク層を構築するステップと、
エリプソメトリテストパラメータベクトル及び材料光学定数を含むサンプルデータを構築するステップと、
前記サンプルデータを用いて前記初期モデルの各ニューラルネットワーク層を訓練することで、前記機械学習モデルを得るステップと、を含み、
前記サンプルデータを用いて前記初期モデルの各ニューラルネットワーク層を訓練することで、前記機械学習モデルを得るステップは、
前記サンプルデータを訓練セット、検証セット及びテストセットに分けるステップと、
前記訓練セット及び前記検証セットをそれぞれ前記初期モデルに入力し、前記初期モデルを最適化処理し、最適化モデルをリアルタイムで記録するとともに、訓練データの誤差曲線及び検証データの誤差曲線を生成するステップと、を含み、
さらに、全ての最適モデルから検証セット上でパフォーマンスが最も高いM個の最適化モデルを選択し、前記M個の最適化モデルの複数種のパラメータのそれぞれについて平均値を計算し、第2最適化モデルを得るステップと、前記テストセットにおける入力パラメータをそれぞれ前記第2最適化モデルに入力し、前記第2最適化モデルにより計算して第2出力パラメータを取得し、前記第2出力パラメータと前記テストセットにおける出力パラメータの誤差を判断し、前記誤差が所定範囲内である場合、前記第2最適化モデルは前記機械学習モデルであるステップと、を含む、又は、
さらに、全ての最適化モデルからN個の最適化モデルをランダムに選択し、前記N個の最適化モデルの複数種のパラメータのそれぞれについて平均値を計算し、第3最適化モデルを得るステップと、前記テストセットにおける入力パラメータをそれぞれ前記第3最適化モデルに入力し、前記第3最適化モデルにより計算して第3出力パラメータを取得し、前記第3出力パラメータと前記テストセットにおける出力パラメータの誤差を判断し、前記誤差が所定範囲内である場合、前記第3最適化モデルは前記機械学習モデルであるステップと、を含む、材料データベースの拡張装置。
【請求項14】
メモリ、プロセッサ、及びメモリに記憶され、プロセッサで実行可能なコンピュータプログラムを含むコンピュータデバイスであって、
前記プロセッサが前記コンピュータプログラムを実行することにより、請求項1から8のいずれか1項に記載の材料光学定数の確定方法におけるステップ、又は請求項9から11のいずれか1項に記載の材料データベースの拡張方法におけるステップが達成される、コンピュータデバイス。
【請求項15】
コンピュータプログラムが記憶されたコンピュータ読み取り可能な記憶媒体であって、
前記コンピュータプログラムがプロセッサにより実行されることによって、請求項1から8のいずれか1項に記載の材料光学定数の確定方法におけるステップ、又は請求項9から11のいずれか1項に記載の材料データベースの拡張方法におけるステップが達成される、コンピュータ読み取り可能な記憶媒体。
【請求項16】
エリプソメータ(300)であって、
検出光線を発生する光源(310)と、
前記検出光線の波長及び偏光角を調整する光線選択装置(320)と、
検出光線が形成されるように、前記光源(310)が発生する検出光線をいかなる他の偏光状態に補正し、前記検出光線を、ベース(410)及び前記ベース(410)表面の材料薄膜(420)を含むテスト試料(400)の表面に照射させる光線偏光補償装置(330)と、
前記検出光線が前記テスト試料(400)によって反射又は屈折された後の検出光線を取得し、測定結果を得る光線偏光分析装置(340)であって、前記測定結果は、前記テスト試料(400)のエリプソメトリテストパラメータベクトル(Δ,Ψ)、前記材料薄膜(420)の厚さ、前記材料薄膜(420)の波長、前記材料薄膜(420)の入射角、前記ベース(410)の屈折率実部及び前記ベース(410)の屈折率虚部のうちのいずれか1種又は複数種を含むものと、
前記測定結果、前記検出光線の波長、前記検出光線の入射角、前記ベース(410)の屈折率実部、前記ベース(410)の屈折率虚部に基づいて、請求項1から8のいずれか1項に記載の材料光学定数の確定方法により前記材料薄膜(420)の光学定数を確定する材料光学定数確定装置(100)であって、前記光学定数は、前記材料薄膜(420)の屈折率実部及び屈折率虚部のうちのいずれか1種又は2種を含むものと、を含むエリプソメータ(300)。
【技術分野】
【0001】
本発明は、2019年06月11日に出願された中国特許出願第201910500995.0号(名称:材料光学定数の確定方法、材料データベースの拡張方法及び装置)の優先権を主張し、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
本発明は、材料科学の技術分野に関し、特に材料光学定数の確定方法、材料データベースの拡張方法及び装置に関する。
【背景技術】
【0003】
エリプソメータ(Ellipsometer)は、材料表面での光波の反射特性の偏光依存性を利用して物質の光学定数(例えば、屈折率、誘電率等)及び薄膜の厚さを測定する機器である。入射光が材料表面で反射される際に、反射光の振幅及び位相は、反射率で計算される。異なる偏光状態の入射光が材料表面で反射される際に、異なる反射率を表す。反射率の差異の大きさは、材料の光学定数及び厚さに関係がある。異なる波長、異なる偏光状態での入射光の反射率の差異特性曲線を測定し、この曲線に対してデータフィッティングを行うことにより、物質の光学定数(例えば、屈折率、誘電率など)及び薄膜の厚さが得られる。測定された曲線のフィッティングを迅速で正確に達成することは、エリプソメータ使用の重要な部分であり、物質の光学定数情報を得る鍵でもある。
【0004】
従来技術では、実験者は、自分の経験を頼り過ぎ、各フィッティングパラメータの調整を絶えず試行することにより、測定された曲線のフィッティングを実現し、材料の光学定数又は薄膜の厚さを得ていた。しかし、この方法は、実験者が豊富な経験を持つことを要求し、データ曲線のフィッティング速度が遅く、効率が低い。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記の事情に鑑みて、従来方法における実験者の経験に対する要求が極めて高く、フィッティング速度が遅く、効率が低い問題を解決するために、材料光学定数を自動的で迅速に確定可能な新しい方法及び装置、並びに材料データベースの拡張方法及び装置を提供する必要がある。
【0006】
材料光学定数の確定方法であって、
エリプソメトリテストパラメータベクトルを取得ステップと、
前記エリプソメトリテストパラメータベクトルを機械学習モデルに入力し、前記エリプソメトリテストパラメータベクトルに対応する材料光学定数を得るステップと、を含み、
前記機械学習モデルは、前記エリプソメトリテストパラメータベクトルと前記材料光学定数とのマッピング関係を含む、材料光学定数の確定方法。
【0007】
材料データベースの拡張方法であって、
テスト材料のエリプソメトリテストパラメータベクトルを取得するステップと、
前記エリプソメトリテストパラメータベクトルを機械学習モデルに入力し、前記エリプソメトリテストベクトルに対応する材料光学定数を得るステップと、
既知の材料データベース中で前記テスト材料の光学定数を検索するステップと、
前記既知の材料データベースに前記テスト材料の光学定数が存在しない場合、テスト材料のエリプソメトリテストパラメータベクトル、前記エリプソメトリテストパラメータベクトルに対応するテスト材料の光学定数を前記既知の材料データベースに拡張するステップと、を含む材料データベースの拡張方法。
【0008】
一実施例において、前記方法は、
前記エリプソメトリテストパラメータベクトルに対応するテスト材料の光学定数が未知の新材料に属するか否かを検証するステップと、
前記エリプソメトリテストパラメータベクトルに対応するテスト材料の光学定数が未知の新材料に属する場合、未知の新材料の名称を前記既知の材料データベースに拡張するステップと、をさらに含む、
【0009】
一実施例において、前記方法は、
前記エリプソメトリテストパラメータベクトルに対応するテスト材料の光学定数がいかなる未知の新材料にも属しない場合、前記機械学習モデルをさらに更新するステップをさらに含む
【0010】
材料光学定数確定装置であって、
テスト材料のエリプソメトリテストパラメータベクトルを取得するエリプソメトリテストパラメータベクトル取得モジュールと、
前記エリプソメトリテストパラメータベクトルを前記機械学習モデルに入力し、前記エリプソメトリテストパラメータベクトルに対応する材料光学定数を得る材料光学定数確定モジュールと、を含み、
前記機械学習モデルは、エリプソメトリテストパラメータベクトルと材料光学定数とのマッピング関係を含む、材料光学定数確定装置。
【0011】
材料データベースの拡張装置であって、
テスト材料のエリプソメトリテストパラメータベクトルを取得するエリプソメトリテストパラメータベクトル取得モジュールと、
前記エリプソメトリテストパラメータベクトルを前記機械学習モデルに入力し、前記エリプソメトリテストパラメータベクトルに対応する材料光学定数を得る材料光学定数確定モジュールと、
既知の材料データベース中で前記テスト材料の光学定数を検索する検索モジュールと、
前記既知の材料データベースに前記テスト材料の光学定数が存在しない場合、テスト材料のエリプソメトリテストパラメータベクトル、前記エリプソメトリテストパラメータベクトルに対応するテスト材料の光学定数を前記既知の材料データベースに拡張する拡張モジュールと、を含む、材料データベースの拡張装置。
【0012】
メモリ、プロセッサ、及びメモリに記憶され、プロセッサで実行可能なコンピュータプログラムを含むコンピュータデバイスであって、
前記プロセッサが前記コンピュータプログラムを実行することにより、前記いずれかの方法におけるステップが達成される、コンピュータデバイス。
【0013】
コンピュータプログラムが記憶されたコンピュータ読み取り可能な記憶媒体であって、
前記コンピュータプログラムがプロセッサにより実行されることによって、前記いずれかの方法におけるステップが達成される、コンピュータ読み取り可能な記憶媒体。
【0014】
一実施例において、検出光線を発生する光源と、
前記検出光線の波長及び偏光角を調整する光線選択装置と、
検出光線が形成されるように、前記光源が発生する検出光線をいかなる他の偏光状態に補正し、前記検出光線を、ベース及び前記ベース表面の材料薄膜を含むテスト試料の表面に照射させる光線偏光補償装置と、
前記検出光線が前記テスト試料によって反射又は屈折された後の検出光線を取得し、測定結果を得る光線検出器であって、前記測定結果は、前記テスト試料のエリプソメトリテストパラメータベクトル(Δ,Ψ)、前記材料薄膜の厚さ、前記材料薄膜の波長、前記材料薄膜の入射角、前記ベースの屈折率実部及び前記ベースの屈折率虚部のうちのいずれか1種又は複数種を含むものと、
前記測定結果、前記検出光線の波長、前記検出光線の入射角、前記ベースの屈折率実部、前記ベースの屈折率虚部に基づいて、前記いずれかの材料光学定数の確定方法により前記材料薄膜の光学定数を確定する材料光学定数確定装置であって、前記光学定数は、前記材料薄膜の屈折率実部及び屈折率虚部のうちのいずれか1種又は2種を含むものと、を含むエリプソメータがさらに提供される。
【0015】
本発明は、材料光学定数の確定方法、材料データベースの拡張方法及び装置を提供する。前記材料光学定数の確定方法は、エリプソメトリテストパラメータベクトルを取得し、機械学習モデルにより前記エリプソメトリテストパラメータベクトルに対応する材料光学定数を得るステップを含む。前記機械学習モデルは、エリプソメトリテストパラメータベクトルと材料光学定数とのマッピング関係を含む。前記材料光学定数の確定方法は、前記機械学習モデルによりエリプソメトリテスト結果の自動的なフィッティングを実現する。前記材料光学定数の確定方法は、機械学習モデルを用いて材料の光学定数を計算することにより、実験者の経験を頼ることなく、作業者に対する要求が低下し、材料の光学定数を計算するときにデータ曲線のフィッティング速度が速くなり、計算効率が高くなる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の一実施例に係るエリプソメータの動作原理の模式図である。
【図2】本発明の一実施例に係るエリプソメトリテストパラメータ確定の理論モデルである。
【図3】本発明の一実施例に係る材料光学定数の確定方法のフローチャートである。
【図4】本発明の一実施例に係る機械学習モデルを取得するフローチャートである。
【図5】本発明の一実施例に係る機械学習モデルを取得するフローチャートである。
【図6】本発明の一実施例に係る機械学習モデルを取得するフローチャートである。
【図7】本発明の一実施例に係る機械学習モデルを取得するフローチャートである。
【図8】本発明の一実施例に係る機械学習モデルを取得するフローチャートである。
【図9】本発明の一実施例に係る材料光学定数の確定方法、及び機械学習モデル更新の手順フローチャートである。
【図10】本発明の一実施例に係る材料データベースの拡張方法のフローチャートである。
【図11】本発明の一実施例に係る材料光学定数確定装置の模式図である。
【図12】本発明の一実施例に係る材料データベース拡張装置の模式図である。
【図13】本発明の一実施例に係る機械学習モデルを取得する過程における誤差テストのデータ図である。
【図14】本発明の一実施例において、シリコンをテスト試料として、従来のテスト方法及び本発明に係る材料光学定数の確定方法を採用して得られた比較図である。
【図15】本発明の一実施例において、二酸化チタンのみをテスト試料として、従来のテスト方法及び本発明に係る材料光学定数の確定方法を採用して得られた比較図である。
【図16】本発明の一実施例において、金をテスト試料として、従来のテスト方法及び本発明に係る材料光学定数の確定方法を採用して得られた比較図である。
【図17】本発明の一実施例に係るエリプソメータの構造の模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明の目的、技術的解決策及び利点をより分かりやすくするために、以下、図面及び実施例により本発明の材料光学定数の確定方法、材料データベースの拡張方法及び装置をさらに詳しく説明する。本明細書の具体的な実施例は、本発明を解釈するためのものに過ぎず、本発明を限定するものではないことを理解されたい。
【0018】
エリプソメータは、薄膜の厚さ、光学定数を測定するために用いられる光学測定機器である。測定精度が高く、超薄膜に特に適用され、試料に接触することないため試料を破壊しないなどの利点により、エリプソメータは、非常に魅力的な測定機器となっている。図1に示すように、エリプソメータは、一般的に、光源、偏光板P、補償板C、検光板A及び検出器(シングルポイント又はエリアアレイ検出器、略称:D)を含む。
【0019】
エリプソメータが使用される際に、連続スペクトル白色光は、格子により周波数選択された後、単色光として出力される。偏光板P、補償板Cを通過した後、楕円偏光として試料に照射される。反射光の偏光状態は、試料のs偏光反射率rsとp偏光反射率rpとの差異によって変化される。反射光は、検光板Aを通過した後、検出器Dによりその強度が測定される。
【0020】
図2は、エリプソメータ測定過程における試料中での光線の進行方向の模式図である。図2に示すように、試料は、ベース層及び薄膜層を含む。光源から出射した光は、偏光板P及び補償板Cを通過した後、空気と薄膜層の境界面から薄膜層に入射する。ここで、入射光の振幅はE0、入射光と境界面法線との角度は
JPEG0007072924000001.jpg53、薄膜層の厚さはdである。
【0021】
JPEG0007072924000002.jpg55170
【0022】
JPEG0007072924000003.jpg75170
【0023】
以上は、材料光学定数とエリプソメトリテストパラメータとの関係についての理論的計算である。
【0024】
以下、エリプソメータの測定方法及び従来のデータフィッティング方法を紹介する。
【0025】
一、エリプソメータによる異なる試料に対する具体的な測定方式(ここで、偏光板、検光板、補償板などの使用は、エリプソメトリテストパラメータベクトル(Δ,Ψ)を取得するための方式の1種であり、例えば、光弾性変調器を用いてエリプソメトリテストパラメータベクトル(Δ,Ψ)を取得するなどの他の多くの方式がある)は、以下を含む。
(1)偏光板角度θP及び検光板角度θAをそれぞれ取得
補償板C及び検光板Aを固定し、偏光板Pを回転させることで、検出器で記録された光強度が最も小さいときの偏光板角度θPを見つける。偏光板P及び補償板Cを固定し、検光板Aを回転させることで、検出器で記録された光強度が最も小さいときの検光板角度θAを見つける。
【0026】
(2)パラメータ変換
エリプソメトリテストパラメータベクトル(Δ,Ψ)は、前記偏光板角度θP、検光板角度θA及び補償板の固定した角度θCと関数関係:(Δ,Ψ)=f(θP,θA,θC)を満たす。エリプソメータの制御プログラムにより偏光板角度θP及び検光板角度θAの数値を直接読み取って取得し、さらに、関数関係:(Δ,Ψ)=f(θP,θA,θC)によりエリプソメトリテストパラメータベクトル(Δ,Ψ)の数値を取得することができる。
【0027】
二、エリプソメータで測定されたエリプソメトリテストパラメータベクトルを用いてデータフィッティングを行い、試料の対応する光学定数が得られる。
(1)モデル構築
エリプソメータのフィッティングプログラムにおいて、空気-薄膜層-ベース層のモデルを構築する。空気-薄膜層-ベース層のモデルは、試料の構成と一致する。
【0028】
(2)フィッティング前の基本パラメータ確定
それぞれ薄膜層及びベース層の材料を選定し、薄膜層厚さの初期値及び範囲を設定する。ベース層材料は、既知(例えば、SiO2)として設定することができるため、材料ライブラリからその屈折率ファイルを直接導入することができる。薄膜層材料は、未知であり、屈折率フィッティングが必要であるため、その屈折率曲線が複数の分散線形の重ね合わせとして設定される。
【0029】
(3)空気-薄膜層-ベース層のモデル及びフィッティング前の基本パラメータに基づく線形及び関連パラメータの手動設定
薄膜層の材料に適切な分散線形を導入し、このモデルにおけるΔ,Ψのフィッティング結果がエリプソメトリテストパラメータベクトル(Δ,Ψ)の測定結果にできるだけ同じになるように各分散線形の関連パラメータを手動で設定する。
【0030】
(4)自動的で正確なフィッティング
ステップ(3)は複数回実行することができ、ステップ(3)を実行した毎に、自動的で正確なフィッティングステップを実行することができる。ステップ(4)は、ステップ(3)でパラメータを手動で設定することによりΔ,Ψのフィッティング結果を測定結果に接近させることができないため追加されるものである。本ステップにおいて、プログラムにより自動的に正確にフィッティングすることによって、プログラムによりアルゴリズムを介して正確なフィッティング又は接近フィッティングが行われる。
【0031】
本発明は、材料光学定数の確定方法及び装置、材料データベースの拡張方法及び装置を提供する。材料光学定数の確定方法及び装置は、従来のエリプソメータと組み合わせて使用することができる。新しいエリプソメータを製造して本発明に係る材料光学定数の確定方法を実現してもよい。
【0032】
図3に示すように、本発明が提供する材料光学定数の確定方法は、以下のステップを含む。
【0033】
S10:エリプソメトリテストパラメータベクトルを取得する。本ステップにおいて、前記エリプソメトリテストパラメータベクトルは、エリプソメトリテストパラメータΔ,Ψ、異なるベース材料の屈折率、異なる薄膜層材料の屈折率、異なる薄膜層材料の波長、異なる薄膜層材料の厚さ、及び異なる薄膜層材料の入射角のうちの1種又は複数種を含み得る。
【0034】
S20:前記エリプソメトリテストパラメータベクトルを機械学習モデルに入力し、前記エリプソメトリテストパラメータベクトルに対応する材料光学定数を取得する。前記機械学習モデルは、エリプソメトリテストパラメータベクトルと材料光学定数とのマッピング関係を含む。
【0035】
本ステップにおいて、前記材料光学定数は、材料の屈折率又は材料の誘電率を含んでもよい。具体的なエリプソメトリテストパラメータベクトルと材料光学定数とのマッピング関係は、異なる基礎物理学の理論を組み合わせて取得することができる。例えば、単層膜干渉理論、材料薄膜の光学反射/透過理論に基づいてエリプソメトリテストパラメータベクトルと材料光学定数とのマッピング関係を確定することができる。
【0036】
本実施例において、機械学習モデルを材料光学定数の確定過程に適用する。前記機械学習モデルにより単純な線形材料、複雑な多線形材料、異方性材料光学定数の迅速且つ正確な確定が達成される。前記機械学習モデルにより材料光学定数を確定することによって、データフィッティングのパラメータの調整に実験者の経験を頼りすぎることなく、高速連続自動補正により測定データ曲線のフィッティングが達成され、最終的には、材料の光学定数が得られる。具体的には、図14から16を参照されたい。図中、既知材料を用いて検証試験を行う。
【0037】
図14は、シリコン(Si)を測定試料とする場合での従来の試験方法と本発明に係る材料光学定数の確定方法との比較図である。図14から分かるように、本発明に係る材料光学定数の確定方法により得られた半導体シリコンの屈折率n及びκ曲線、(Δ,Ψ)の曲線は、従来のフィッティング方法により得られた半導体シリコンの屈折率n及びκ曲線、(Δ,Ψ)の曲線と基本的に重なり合う。図14において、500nmから600nmの短波帯付近では、本発明に係る材料光学定数の確定方法により得られた半導体シリコンの試験データは、従来のフィッティング方法により得られた半導体シリコンの試験データよりも実際の測定データに近い。図14のn&κの曲線図から分かるように、データκ曲線は500nmから600nmの間に明確な違いが現れる。また、Δ&Ψ曲線図から分かるように、本発明に係る材料光学定数の確定方法により得られた半導体シリコンのΔデータは、実際の実験測定値により近い(図14における局所図)。したがって、本発明に係る材料光学定数の確定方法により得られたデータは、従来のフィッティング方法により得られたデータよりも正確である。図15は、二酸化チタン(TiO2)を測定試料とする場合での従来の試験方法と本発明に係る材料光学定数の確定方法との比較図である。図16は、金を測定試料とする場合での従来の試験方法と本発明に係る材料光学定数の確定方法との比較図である。図14、図15及び図16は、本発明に係る材料光学定数の確定方法が材料の屈折率を正確に測定できることを証明することができる。上記図面に挙げられたシリコン、二酸化チタン及び金の実施例以外、前記材料光学定数の確定方法では、より多くの材料を使用し、前記機械学習モデルによりエリプソメトリ測定結果に対する自動的なフィッティングを実現することもできる。さらに、本発明に係る材料光学定数の確定方法により得られた材料光学定数は、精度が従来方法以上である。
【0038】
図4に示すように、一実施例において、前記機械学習モデルの構築方法は、以下のステップを含む。
S210:前記エリプソメトリテストパラメータベクトルと材料光学定数とのマッピング関係に基づいて初期モデルの各ニューラルネットワーク層を構築する。本ステップにおいて、前記初期モデルは、入力層、畳み込み層及び出力層を含み得る。畳み込み層は、畳み込み層、プーリング層又は完全接続層のうちの1種又は複数種を含み得る。
【0039】
S220:エリプソメトリテストパラメータベクトル及び材料光学定数を含むサンプルデータを構築する。
【0040】
本ステップにおいて、前記サンプルデータに含まれる前記エリプソメトリテストパラメータベクトルは、前記機械学習モデルの入力パラメータである。一実施例において、前記入力パラメータは、エリプソメトリテストパラメータベクトル(Δ,ψ)、材料薄膜の厚さd、入射角Φ、波長λ、ベースの複素屈折率
JPEG0007072924000004.jpg55、及び薄膜の複素屈折率
JPEG0007072924000005.jpg55などを含む。本ステップにおいて、前記サンプルデータに含まれる前記材料光学定数は、前記機械学習モデルの出力パラメータである。一実施例において、前記出力パラメータは、材料の屈折率
JPEG0007072924000006.jpg68又は誘電率(ε)を含み得る。例えば、出力パラメータは、(n、κ)からなるベクトル、(εr、εi)からなるベクトルであってもよい。サンプルデータの構築過程は、データの処理過程を含み、例えば、サンプルデータを同じ又は近い波長範囲内に設定する必要がある。前記サンプルデータに含まれるデータのタイプは、全面的で、含まれる数量は十分に多くなければならない。例えば、前記サンプルデータは、異なる線形で得られたエリプソメトリテストパラメータベクトル及び材料光学定数を含む。前記線形は、フロッシュ線形、ガウス線形、コーシー線形、ローレンツ線形、ドルーデ線形、スネル線形、ファーノ線形のうちの少なくとも1種を含むが、これらに限定されない。一実施例において、前記材料光学定数は、複数の材料光学定数からなるベクトル、即ち、材料光学定数ベクトルであり得る。
【0041】
S230:前記サンプルデータを用いて前記初期モデルの各ニューラルネットワーク層を訓練することで前記機械学習モデルを得る。本ステップにおいて、前記初期モデルの各ニューラルネットワーク層の訓練過程は、計算及びプログラムの実行過程として理解され得る。
【0042】
本実施例において、前記機械学習モデルの構築方法を提供する。当該方法は、具体的に初期モデルの各ニューラルネットワーク層を構築すること、サンプルデータを構築すること、及び前記初期モデルが前記機械学習モデルによって達成される必要がある基本機能を持つように前記初期モデルの各ニューラルネットワーク層を訓練することを含む。
【0043】
図5に示すように、一実施例において、前記サンプルデータを用いて前記初期モデルの各ニューラルネットワーク層を訓練することで前記機械学習モデルを得るステップS230は、以下のステップS231~S233を含む。
【0044】
S231:前記エリプソメトリテストパラメータベクトルを前記初期モデルに入力し、現在出力データを得る。本ステップにおいて、得られた前記現在出力データは、前記初期モデルの訓練過程における量である。
【0045】
S232:前記現在出力データと対応する前記材料光学定数との差を計算し、前記差が所定値以上である場合、前記差に基づいて前記初期モデルの各ニューラルネットワーク層のネットワークパラメータを調整する。本ステップにおいて、前記現在出力データと前記材料光学定数との差は、前記初期モデルの調整すべき程度をある程度に表すことができる。
【0046】
S233:前記差が所定値未満になるまで前記差を反復計算するステップを実行した場合、前記初期機械学習モデルの各ニューラルネットワーク層が収束すると判断し、前記機械学習モデルを得る。本ステップにおいて、前記所定値は、設定された値であってもよく、例えば、前記所定値は、10-6又は10-8であってもよい。
【0047】
本実施例において、前記サンプルデータを用いて初期モデルの各ニューラルネットワーク層を訓練することで前記機械学習モデルを得る。理解され得るように、試験精度の要求に応じて、多数の異なるタイプの前記機械学習モデルを設置することができる。各タイプの前記機械学習モデルで使用される前記サンプルデータは同じである。このようにして、訓練により得られた前記機械学習モデルの正確率がより高くなる。また、一つのタイプの前記機械学習モデルのみを設置してもよい。このようなタイプの前記機械学習モデルを訓練する場合、異なるタイプの前記サンプルデータを使用することにより、訓練により得られた前記機械学習モデルは、異なる種類のデータの使用を満たすことができる。本実施例において、提供される方法では、前記初期モデルに基づいて1種又は複数種の前記機械学習モデルを取得することができ、具体的には、実際の需要に応じて選択することができる。
【0048】
図6に示すように、一実施例において、前記サンプルデータを用いて前記初期モデルの各ニューラルネットワーク層を訓練することで前記機械学習モデルを得るステップS230は、以下のステップS234からS237を含む。
【0049】
S234:前記サンプルデータを訓練セット、検証セット及びテストセットに分ける。本ステップにおいて、訓練セット、検証セット及びテストセットは、互いに包含しないデータ集合である。例えば、6000データを含む訓練セット、2000データを含む検証セット、及び2000データを含むテストセットを設定してもよい。ここで、前記サンプルデータにおけるデータセットは、他の割合で割り当てられてもよい。訓練セット及び検証セットは、前記初期モデルにおいて同期に行われることにより、訓練しながら効果を検証する効果が達成される。
【0050】
S235:前記訓練セット及び前記検証セットをそれぞれ前記初期モデルに入力し、前記初期モデルを最適化処理し、最適化モデルをリアルタイムで記録するとともに、訓練データの誤差曲線及び検証データの誤差曲線を生成する。本ステップにおいて、コンピュータにより最適化モデルをリアルタイムで記録するとともに、コンピュータにより誤差曲線を生成することができる。図13において、訓練セット誤差曲線上で任意に1つの点を取り、その横座標が反復計算の時間又は回数、縦座標が横座標に対応する前記初期モデルを用いて得られた計算結果と実際の材料光学定数との誤差を表す。図13において、検証セット誤差曲線上で任意に1つの点を取り、その横座標が反復計算の時間又は回数、縦座標が横座標に対応する前記初期モデルを用いて得られた計算結果と実際の材料光学定数との誤差を表す。
【0051】
S236:前記検証データの誤差曲線の誤差が減少しなくなった時点での最適化モデルを第1最適化モデルとして取得する。本ステップにおいて、前記第1最適化モデルを取得する具体的な方法には、多種の方法があり、例えば、標識検索法であってもよい。前記標識検索法,生成された訓練データの誤差曲線及び検証データの誤差曲線から前記検証データの誤差曲線の誤差が減少しなくなった時点での最適化モデルを前記第1最適化モデルとして検索することである。
【0052】
S237:前記テストセットにおける入力パラメータをそれぞれ前記第1最適化モデルに入力し、前記第1最適化モデルにより計算して第1出力パラメータを得る。前記第1出力パラメータと前記テストセットにおける出力パラメータの誤差を判断する。前記誤差が所定範囲である場合、前記第1最適化モデルは前記機械学習モデルである。
【0053】
本実施例において、訓練セットにて機械学習システムを訓練し、検証セットにてその性能を監視し、機械学習システムが検証セットでの性能が向上しなくなったときに訓練を停止すると理解され得る。また、検証セット上で性能が最も良好な機械学習モデルをこのラウンドで優勝した訓練モデルを選択する。この過程を複数回繰り返した後、検証セット上で性能が最も良好なモデルを最終機械学習システムとして選択し、テストセットにてその性能をテストする。
【0054】
図7に示すように、一実施例において、前記サンプルデータを用いて前記初期モデルの各ニューラルネットワーク層を訓練することで前記機械学習モデルを得るステップS230は、以下のステップを含む。
S234:前記サンプルデータを訓練セット、検証セット及びテストセットに分ける。
【0055】
S235:前記訓練セット及び前記検証セットをそれぞれ前記初期モデルに入力する。前記初期モデルを最適化処理する。最適化モデルをリアルタイムで記録するとともに、訓練データの誤差曲線及び検証データの誤差曲線を生成する。
【0056】
S238:全てのモデルから検証セット上でパフォーマンスが最も高いM個の最適化モデルを選択し、前記M個の最適化モデルのパラメータの平均値を計算し、第2最適化モデルを得る。
【0057】
本ステップにおいて、前記訓練セットにおいて形成されたモデルから、パフォーマンスが最も高いM個の最適化モデル又はトップMのパフォーマンスが比較的高い最適化モデルを選択する。M個の最適化モデルの複数種のパラメータを取得し、前記複数種のパラメータのそれぞれについて平均値を計算し、複数種の平均パラメータを得る。複数種の平均パラメータを第2最適化モデルの複数種のパラメータとする。
【0058】
S239:前記テストセットにおける入力パラメータをそれぞれ前記第2最適化モデルに入力し、前記第2最適化モデルにより計算して第2出力パラメータを得る。前記第2出力パラメータと前記テストセットにおける出力パラメータの誤差を判断する。前記誤差が所定範囲内である場合、前記第2最適化モデルは前記機械学習モデルである。
【0059】
本実施例において、選択される最適化モデルが第2最適化モデルである点で前の実施例と相違する。本実施例と前の実施例は、同等の技術的な解決策であり、実際の応用において、必要に応じて選択すればよい。
【0060】
図8に示すように、一実施例において、前記サンプルデータを用いて前記初期モデルの各ニューラルネットワーク層を訓練することで前記機械学習モデルを得るステップS230は、以下のステップを含む。
S234:前記サンプルデータを訓練セット、検証セット及びテストセットに分ける。
【0061】
S235:前記訓練セット及び前記検証セットをそれぞれ前記初期モデルに入力し、前記初期モデルを最適化処理し、最適化モデルをリアルタイムで記録するとともに、訓練データの誤差曲線及び検証データの誤差曲線を生成する。
【0062】
S240:全てのモデルからN個の最適化モデルをランダムに選択し、前記N個の最適化モデルのパラメータの平均値を計算し、第3最適化モデルを得る。本ステップにおいて、機械学習モデル統合技術により実現することができる。例えば、他の具体的な方法は、N個の最適化モデルを記憶し、前記サンプルデータの入力パラメータをN個の最適化モデルに入力してN個の出力パラメータを得、N個の出力パラメータの平均値を統合モデルの前記出力パラメータとして計算する方法であってもよい。
【0063】
S241:前記テストセットにおける入力パラメータをそれぞれ前記第3最適化モデルに入力し、前記第3最適化モデルにより計算して第3出力パラメータを得る。前記第3出力パラメータと前記テストセットにおける出力パラメータの誤差を判断し、前記誤差が所定範囲内である場合、前記第3最適化モデルは前記機械学習モデルである。
【0064】
本実施例において、選択される最適化モデルが第3最適化モデルである点で前の2つの実施例と相違する。本実施例と前の2つの実施例は、同等の技術的な解決策であり、実際の応用において、必要に応じて選択すればよい。
【0065】
一実施例において、前記訓練セット、前記検証セット及び前記テストセットにおける前記サンプルデータは、同種データである。本実施例において、前記訓練セット、前記検証セット及び前記テストセットにおける前記サンプルデータがカバーする全ての線形下にてエリプソメータでフィッティングしたデータとして表現することもできる。前記訓練セット、前記検証セット及び前記テストセットにおける前記サンプルデータは、全ての方式でテストすることで得られたΔ,Ψ、薄膜厚さd、波長λ、入射角
JPEG0007072924000007.jpg53、ベース屈折率実部n3、ベース屈折率虚部κ3のうちのいずれか1種又は複数種をカバーする。
【0066】
一実施例において、前記誤差の前記所定範囲は10-5から10-9である。さらに、前記誤差の前記所定範囲は、10-5から10-7であってもよく、例えば、前記誤差は10-6である。
【0067】
一実施例において、前記材料光学定数の確定方法は、
異なるタイプの前記入力パラメータが同じセットの周波数にあるように前記サンプルデータを調整することをさらに含む。本ステップにおける調整は、同じタイプの前記エリプソメトリテストパラメータベクトルを前記機械学習モデルの訓練に適した態様に調整することができる。例えば、一実施例において、入射角の角度値をラジアン値に調整する。
【0068】
異なるタイプの前記入力パラメータが同じオーダーとなるように、前記サンプルデータにおける前記入力パラメータを正規化処理する。例えば、同じタイプの前記入力パラメータを一括して1000で割ってもよい。
【0069】
本実施例において、入力データを調整して正規化処理することにより、前記機械学習モデルの各ニューラルネットワーク層の訓練過程はより安定的で実現されやすくなり、前記機械学習モデルの訓練結果はより正確になる。
【0070】
図9に示すように、一実施例において、前記材料光学定数の確定方法は、前記機械学習モデルを更新するステップをさらに含む。
S30:既知のエリプソメトリテストパラメータベクトル及び前記機械学習モデルにより計算して得られた材料光学定数をそれぞれ更新データの入力パラメータ及び更新データの出力パラメータとする。
【0071】
本ステップにおいて、前記機械学習モデルが既に形成されており、テストされるエリプソメトリテストパラメータベクトル及び計算して得られた材料光学定数を前記機械学習モデルに入力し、前記機械学習モデルをさらに訓練、更新する。
【0072】
S40:前記更新データの入力パラメータを前記機械学習モデルに入力し、現在更新出力データを得る。本ステップにおいて、得られた前記現在更新出力データは、前記初期モデルの訓練過程における一つの量である。
【0073】
S50:前記現在更新出力データと前記更新データの出力パラメータとの差を計算し、前記差が前記所定値以上である場合、前記差に基づいて前記機械学習モデルの各ニューラルネットワーク層のネットワークパラメータを調整する。本ステップにおいて、前記現在更新出力データと前記更新データの出力パラメータとの差は、前記機械学習モデルの調整すべき程度をある程度まで表すことができる。
【0074】
S60:前記差が所定値未満になるまで前記差を反復計算するステップを実行した場合、前記初期機械学習モデルの各ニューラルネットワーク層が収束すると判断し、この場合、前記機械学習モデルに対する更新を完成する。本ステップにおいて、前記所定値は、設定された値であってもよく、例えば、前記所定値は、10-6又は10-8であってもよい。
【0075】
本実施例において、テストされるエリプソメトリテストパラメータ及び前記機械学習モデルにより計算して得られた材料光学定数をそれぞれ更新データの入力パラメータ及び更新データの出力パラメータとして前記機械学習モデルを更新する。本実施例において、提供される方法により、前記機械学習の自己学習機能が達成される。具体的な前記機械学習モデルの更新間隔時間は、実際の必要に応じて設定することができる。
【0076】
一実施例において、前記機械学習モデルは、畳み込みニューラルネットワーク、完全接続ニューラルネットワーク又は循環ニューラルネットワークのうちの1種又は複数種を含む。本実施例において、前記機械学習モデルは、いずれか1種のニューラルネットワーク又はいずれか複数種のニューラルネットワークの組み合わせを含み得る。前記機械学習モデルを構築する際に、どのニューラルネットワークを使用するかは、実際の需要に応じて決定することができる。
【0077】
図10に示すように、本発明は、材料データベースの拡張方法をさらに提供する。当該方法は、以下のステップを含む。
S100:テスト材料のエリプソメトリテストパラメータベクトルを取得する。本ステップにおいて、前記エリプソメトリテストパラメータベクトルは、エリプソメトリテストパラメータベクトル、波長、異なるベース材料、異なる薄膜層材料、異なる薄膜層厚さ、及び異なる入射角のうちの1種又は複数種を含み得る。
【0078】
S200:前記エリプソメトリテストパラメータベクトルを機械学習モデルに入力し、前記エリプソメトリテストパラメータベクトルに対応するテスト材料の光学定数を得る。本ステップにおいて、前記材料光学定数は、材料の屈折率又は材料の誘電率を含み得る。具体的なエリプソメトリテストパラメータベクトルと材料光学定数とのマッピング関係は、異なる基礎物理学の理論を組み合わせて取得することができる。例えば、単層膜干渉理論、材料薄膜の光学反射/透過理論に基づいてエリプソメトリテストパラメータベクトルと材料光学定数とのマッピング関係を確定することができる。
【0079】
S300:既知の材料データベースから前記テスト材料の光学定数を検索する。本ステップにおいて、前記既知の材料データベースは、材料のエリプソメトリテストパラメータベクトル、材料光学定数(屈折率/誘電率)及び材料名称を含み得る。
【0080】
S400:前記既知の材料データベースに前記テスト材料の光学定数が存在しない場合、テスト材料のエリプソメトリテストパラメータベクトル、前記エリプソメトリテストパラメータベクトルに対応するテスト材料の光学定数を前記既知の材料データベースに拡張する。本ステップにおいて、研究者又は他の権威ツールにより前記テスト材料の光学定数の測定を承認した後、さらにテスト材料のエリプソメトリテストパラメータベクトル、前記エリプソメトリテストパラメータベクトルに対応するテスト材料の光学定数を前記既知の材料データベースに拡張することを含んでもよい。
【0081】
本実施例は、材料データベースの拡張方法を提供する。前記材料データベースの拡張方法は以下のことを含む。テスト材料のエリプソメトリテストパラメータベクトルを機械学習モデルに入力し、計算して前記エリプソメトリテストパラメータベクトルに対応するテスト材料の光学定数を得る。既知の材料データベースにおいて前記テスト材料の光学定数を照合、検索する。前記既知の材料データベースに前記テスト材料の光学定数が存在しない場合、テスト材料の光学定数を前記既知の材料データベースに拡張する。前記材料データベースの拡張方法により、テスト材料の関連データを既知の材料データベースに正確に拡張することができる。
【0082】
一実施例において、前記材料データベースの拡張方法は、以下のステップをさらに含む。
S500:前記エリプソメトリテストパラメータベクトルに対応するテスト材料の光学定数が未知の新材料に属するか否かを検証する。本ステップにおける検証方式は唯一ではなく、研究者による合理的な推測、試験機器による検出、又は本システムにおける複数回の訓練及び複数回のテストの結果が一致するか否かを監視することにより、前記エリプソメトリテストパラメータベクトルに対応するテスト材料の光学定数が未知の新材料に属するか否かを検証することができる。
【0083】
S600:前記エリプソメトリテストパラメータベクトルに対応するテスト材料の光学定数が未知の新材料に属する場合、未知の新材料の名称を前記既知の材料データベースに拡張する。本ステップにおいて、前記エリプソメトリテストパラメータベクトルに対応するテスト材料の光学定数が未知の新材料に属すると検証した後、新材料の拡張及び分類方式を提供する。
【0084】
本実施例において、前記エリプソメトリテストパラメータベクトルに対応するテスト材料の光学定数が未知の新材料に属するか否かを検証するステップ及び前記新材料を分類するステップを設計することによって、前記材料データベースの拡張方法はより科学的で厳密である。
【0085】
一実施例において、前記材料データベースの拡張方法は、以下のステップをさらに含む。
S700:前記エリプソメトリテストパラメータベクトルに対応するテスト材料の光学定数がいかなる未知の新材料にも属しない場合、前記機械学習モデルをさらに更新する。
【0086】
本実施例において、前記エリプソメトリテストパラメータベクトルに対応するテスト材料の光学定数がいかなる未知の新材料にも属しない場合、前記エリプソメトリテストパラメータベクトルに対応するテスト材料の光学定数の計算が間違っているか否かを判断する必要がある。間違っている場合、前記機械学習モデルを更新する必要がある。前記機械学習モデルを更新する具体的なステップは、S30-S60を参照して実行することができる。計算が間違っていない場合、テスト材料の関連データを既知の材料データベースに拡張する。
【0087】
なお、図3-10のフローチャートにおける各ステップは矢印に示されるように表示されるが、これらのステップは、必ずしも矢印に示される順序に従って実行するわけではない。本明細書に明示的に述べられない限り、これらのステップの実行は、順序に制限されず、他の順序に従って実行されてもよい。また、図3-10におけるステップの少なくとも一部は、複数のサブステップ又は複数の段階を含んでもよい。これらのサブステップ又は段階は、必ずしも同一の時点で実行を完成せず、異なる時点で実行されてもよい。これらのサブステップ又は段階の実行順序も必ずしも順に実行する訳ではなく、他のステップ又は他のステップのサブステップ若しくは段階の少なくとも一部と交代又は交互に実行されてもよい。
【0088】
図11に示すように、本発明に係る材料光学定数確定装置100は、エリプソメトリテストパラメータベクトル取得モジュール10及び材料光学定数確定モジュール20を含む。
【0089】
前記エリプソメトリテストパラメータベクトル取得モジュール10は、テスト材料のエリプソメトリテストパラメータベクトルを取得するものである。前記材料光学定数確定モジュール20は、前記エリプソメトリテストパラメータベクトルを前記機械学習モデルに入力し、前記エリプソメトリテストパラメータベクトルに対応する材料光学定数を得るものである。前記機械学習モデルは、エリプソメトリ測定実験条件、及び得られたテストパラメータベクトルと材料光学定数とのマッピング関係を含む。
【0090】
本実施例において、提供される前記材料光学定数確定装置100は、機械学習モデルを材料光学定数の確定過程に適用することができる。前記材料光学定数確定装置100により単純な線形材料、複雑な多線形材料、異方性材料光学定数の迅速且つ正確な確定が達成される。前記材料光学定数確定装置100により材料光学定数を確定することによって、データフィッティングのパラメータの調整に実験者の経験を頼りすぎることなく、絶えず試行して測定データ曲線のフィッティングを達成し、最終的には、材料の光学定数が得られる。
【0091】
図12に示すように、本発明に係る材料データベース拡張装置200は、エリプソメトリテストパラメータベクトル取得モジュール10、材料光学定数確定モジュール20、検索モジュール30及び拡張モジュール40を含む。
【0092】
前記エリプソメトリテストパラメータベクトル取得モジュール10は、テスト材料のエリプソメトリテストパラメータベクトルを取得するものである。
【0093】
前記材料光学定数確定モジュール20は、前記エリプソメトリテストパラメータベクトルを機械学習モデルに入力し、前記エリプソメトリテストパラメータベクトルに対応するテスト材料の光学定数を得るものである。本ステップにおいて、前記機械学習モデルは、前記材料光学定数確定モジュール20の一部であってもよい。
【0094】
前記検索モジュール30は、既知の材料データベースにおいて前記テスト材料の光学定数を検出するものである。
【0095】
前記拡張モジュール40は、前記既知の材料データベースに前記テスト材料の光学定数が存在しない場合、テスト材料のエリプソメトリテストパラメータベクトル、前記エリプソメトリテストパラメータベクトルに対応するテスト材料の光学定数を前記既知の材料データベースに拡張するものである。
【0096】
本実施例において、前記材料データベース拡張装置200により、テスト材料の関連データを既知の材料データベースに正確に拡張することができる。具体的には、前記エリプソメトリテストパラメータベクトル取得モジュール10は、テスト材料のエリプソメトリテストパラメータベクトルを取得する。前記材料光学定数確定モジュール20によりテスト材料のエリプソメトリテストパラメータベクトルを機械学習モデルに入力し、計算して前記エリプソメトリテストパラメータベクトルに対応するテスト材料の光学定数を得る。前記検索モジュール30は、既知の材料データベースにおいて前記テスト材料の光学定数を照合、検索するものである。前記既知の材料データベースに前記テスト材料の光学定数が存在しない場合、前記拡張モジュール40によりテスト材料の光学定数を前記既知の材料データベースに拡張する。
【0097】
図17は、本発明の一実施例に係るエリプソメータ300の構造模式図である。図17に示すように、前記エリプソメータ300は、光源310、光線選択装置320、光線偏光補償装置330、光線偏光分析装置340、及び材料光学定数確定装置100を含む。
【0098】
前記光源310は、検出光線を発生する。前記光源310は、実験の需要に応じて任意の波長帯域の光源を選択して照射することができる。
【0099】
前記光線選択装置320は、前記検出光線の波長及び偏光角を選択、調整するものである。図17に示すように、前記光線選択装置320は、同一光路に設けられたモノクロメータ321、コリメータ322及び偏光器323をさらに含む。前記モノクロメータ321は、広波長帯域の放射線ビームから一連の狭波長帯域の電磁放射を分離するものである。前記モノクロメータ321は、プリズムモノクロメータ又は格子モノクロメータであり得る。前記コリメータ322は、前に配置された前記モノクロメータ321を通過した光線を平行光に変化させ、前記コリメータ322は、光を最大効率で結合させて前記偏光器323及び後続の光学素子に入らせる。前記偏光器323は、光線を特定の方向に沿って偏光させる光学素子又は機器である。
【0100】
前記光線偏光補償装置330は、検出光線が形成されるように、前記光源310が発生する検出光線を他のいかなる偏光状態にも補正し、前記検出光線をテスト試料400の表面に照射させる。前記テスト試料400は、ベース410及び前記ベース410表面の材料薄膜420を含む。
【0101】
前記光線検出器340は、前記検出光線が前記テスト試料400によって反射又は屈折された後の検出光線を取得し、測定結果を得るものである。具体的には、図17に示すように、前記光線偏光分析装置340は、光線偏振検出器341及び光線強度検出器342を含み得る。前記測定結果は、前記テスト試料400のエリプソメトリテストパラメータベクトル(Δ,Ψ)、前記材料薄膜420の厚さ、前記材料薄膜420の波長、前記材料薄膜420の入射角、前記ベース410の屈折率実部及び前記ベース410の屈折率虚部のうちのいずれか1種又は複数種を含む。
【0102】
前記材料光学定数確定装置100は、前記測定結果、前記検出光線の波長、前記検出光線の入射角、前記ベース410の屈折率実部及び前記ベース410の屈折率虚部に基づいて、上記のいずれかの材料光学定数の確定方法により前記材料薄膜420の光学定数を確定するものである。前記光学定数は、前記材料薄膜420の屈折率、誘電率などを含む。
【0103】
一実施例において、前記エリプソメータ300は、100nmから2200nmの広いスペクトル範囲をカバーすることができる。前記エリプソメータ300は、部品を自動的に自己選択することでシステムの機能を増強させ、実験需要を満たすことができる。前記エリプソメータ300には、前記材料光学定数確定装置100が組み合わせられることにより、高精度及び高感度の検出を達成することができる。
【0104】
前記エリプソメータ300は、バイオ/ライフサイエンス研究分野、化学/ポリマー研究分野、タブレット技術分野、食品/飲料分野、冶金技術分野、ナノ技術分野、顔料/粉末/コーティング分野、薬物/化粧品分野、太陽光発電分野、過程制御分野、シリコン分野、表面分析分野、炭素材料又は他の材料分野に適用することができる。
【0105】
例えば、半導体分野では、前記エリプソメータを用いて書き込み可能なディスクのGeSb膜に対して特性評価を行うことができ、エリプソメータを用いて有機半導体に対して光学特性評価を行うことができ、位相変調型エリプソメータを用いてIII-∨族半導体に対して特性評価を行うことができ、エリプソメータを用いて強誘電体薄膜に対して特性評価を行うことができる。
【0106】
例えば、冶金技術分野では、エリプソメータを用いて陽極酸化アルミニウムの表面特性を評価することができる。
【0107】
例えば、太陽光発電分野では、エリプソメータを用いて太陽光発電部材の薄膜品質及び性能を評価することができる。
【0108】
例えば、他の材料分野では、エリプソメータを用いてカルコゲナイドガラスの材料性能を評価することができる。
【0109】
一実施例において、メモリ、プロセッサ、及びメモリに記憶され、プロセッサで実行可能なコンピュータプログラムを含むコンピュータデバイスを提供する。プロセッサがコンピュータプログラムを実行することにより、
エリプソメトリテストパラメータベクトルを取得するステップと、
前記エリプソメトリテストパラメータベクトルを機械学習モデルに入力し、前記エリプソメトリテストパラメータベクトルに対応する材料光学定数を得るステップと、が実現される。
前記機械学習モデルは、エリプソメトリテストパラメータベクトルと材料光学定数とのマッピング関係を含む。
【0110】
一実施例において、プロセッサがコンピュータプログラムを実行することによって、
テスト材料のエリプソメトリテストパラメータベクトルを取得するステップと、
前記エリプソメトリテストパラメータベクトルを機械学習モデルに入力し、前記エリプソメトリテストパラメータベクトルに対応するテスト材料の光学定数を得るステップと、
既知の材料データベース中で前記テスト材料の光学定数を検索するステップと、
前記既知の材料データベースに前記テスト材料の光学定数が存在しない場合、テスト材料のエリプソメトリテストパラメータベクトル、前記エリプソメトリテストパラメータベクトルに対応するテスト材料の光学定数を前記既知の材料データベースに拡張するステップと、がさらに実現される。
【0111】
一実施例において、コンピュータプログラムが記憶されたコンピュータ読み取り可能な記憶媒体を提供する。コンピュータプログラムがプロセッサにより実行されることによって、
エリプソメトリテストパラメータベクトルを取得するステップと、
前記エリプソメトリテストパラメータベクトルを機械学習モデルに入力し、前記エリプソメトリテストパラメータベクトルに対応する材料光学定数を得るステップと、が実現される。
前記機械学習モデルは、エリプソメトリテストパラメータベクトルと材料光学定数とのマッピング関係を含む。
【0112】
一実施例において、コンピュータプログラムがプロセッサにより実行されることによって、
テスト材料のエリプソメトリテストパラメータベクトルを取得するステップと、
前記エリプソメトリテストパラメータベクトルを機械学習モデルに入力し、前記エリプソメトリテストパラメータベクトルに対応するテスト材料の光学定数を得るステップと、
既知の材料データベース中で前記テスト材料の光学定数を検索するステップと、
前記既知の材料データベースに前記テスト材料の光学定数が存在しない場合、テスト材料のエリプソメトリテストパラメータベクトル、前記エリプソメトリテストパラメータベクトルに対応するテスト材料の光学定数を前記既知の材料データベースに拡張するステップと、がさらに実現される。
【0113】
当業者に理解され得るように、上記実施例方法の手順の全部又は一部は、コンピュータプログラムにより、関連するハードウェアに命令することによって達成することができる。前記コンピュータプログラムは、不揮発性コンピュータ読み取り可能な記憶媒体に記憶することができる。このコンピュータプログラムが実行される際に、上述した各方法の実施例の手順を含み得る。本発明の各実施例で使用されるメモリ、記憶、データベース又は他の媒体に対するいかなる引用は、いずれも不揮発性及び/又は揮発性メモリを含み得る。不揮発性メモリは、読み取り専用メモリ(ROM)、プログラム可能ROM(PROM)、電気的にプログラム可能なROM(EPROM)、電気的に消去/プログラムが可能なROM(EEPROM)又はフラッシュメモリを含み得る。揮発性メモリは、ランダムアクセスメモリ(RAM)又は外部高速キャッシュメモリを含み得る。RAMは、多くの形態で利用可能であり、非制限的な例として、スタティックRAM(SRAM)、ダイナミックRAM(DRAM)、シンクロナスDRAM(SDRAM)、ダブルデータレートSDRAM(DDRSDRAM)、エンハンストSDRAM(ESDRAM)、シンクロリンク(Synchlink)DRAM(SLDRAM)、メモリバス(Rambus)ダイレクトRAM(RDRAM)、ダイレクトメモリバスダイナミックRAM(DRDRAM)、及びメモリバスダイナミックRAM(RDRAM)などである。
【0114】
上記実施例の各技術特徴は、任意に組み合わせることができる。簡潔のために、上記実施例の各技術特徴の全ての可能な組み合わせを説明していないが、これらの技術特徴の組み合わせは、矛盾しない限り、本明細書の範囲と見なすべきである。
【0115】
上記実施例により、本発明のいくつかの実施形態を具体的で詳しく説明したが、本発明の範囲を制限するものとして理解されるべきではない。当業者であれば、本発明の思想から逸脱しない限り、いくつかの変形及び改良を加えることができ、これらの変形及び改良は、本発明の保護範囲に含まれる。従って、本発明の保護範囲は、添付する特許請求の範囲によって定められるべきである。