专利详情

标题融合蛋白質E-カドヘリン-Fc、VE-カドヘリン-FcとVEGF-Fcの使用
[标]当前申请(专利权)人南开大学 | 索马龙株式会社
申请日2023年2月2日
申请号JP2023014608
公开(公告)日2023年4月18日
公开(公告)号JP2023055863A
授权日-
法律状态/事件实质审查
专利类型发明申请
发明人ヤン, ジュン | カオ, レイ | ヂャン, イエン | ワン, シュエピン | チェン, グオチアン
受理局日本
当前申请人(专利权)地址中華人民共和国300071天津市南▲開▼区▲衛▼津路94号 | 東京都中央区銀座四丁目11番2号
IPC分类号C12N5/077 | C12M1/00 | C07K19/00
国民经济行业分类号C2762 | C2761
代理机构-
代理人伊東 秀明 | 三橋 史生 | 蜂谷 浩久 | 上西 浩史
被引用专利数量-
专利价值$ 270,000

摘要

本発明は、肝様細胞、内皮様細胞、胆管上皮様細胞、膵島様細胞への分化において分化を促進する、E-cad-Fc、VE-cad-FcとVFGF-Fcの使用を提供する。

【解決手段】幹細胞から内皮様細胞への分化誘導を促進するための、VE-カドヘリン-Fc融合蛋白質の使用を提供する。前記使用は、前記幹細胞から内皮様細胞への分化誘導を促進するために、E-カドヘリン-Fc融合蛋白質及び/又はVEGF-Fc融合蛋白質と組み合わせて用いられることが好ましい。

【請求項1】

幹細胞から内皮様細胞への分化誘導を促進するための、VE-カドヘリン-Fc融合蛋白質の使用。

【請求項2】

前記幹細胞から内皮様細胞への分化誘導を促進するために、E-カドヘリン-Fc融合蛋白質及び/又はVEGF-Fc融合蛋白質との組み合わせて用いられる、請求項1に記載の使用。

【請求項3】

幹細胞を、VE-カドヘリン-Fc融合蛋白質の存在下で培養して、前記幹細胞から内皮様細胞への分化誘導を促進する方法。

【請求項4】

前記幹細胞を、さらにE-カドヘリン-Fc融合蛋白質及び/又はVEGF-Fc融合蛋白質の存在下で培養して、前記幹細胞から内皮様細胞への分化誘導を促進する請求項3に記載の方法。

【請求項5】

VE-カドヘリン-Fc融合蛋白質を含む基材であって、細胞培養、及び幹細胞から内皮様細胞への分化誘導を促進するための修飾基材。

【請求項6】

さらに、前記基材はE-カドヘリン-Fc融合蛋白質及び/又はVEGF-Fc融合蛋白質も含む、請求項5に記載の修飾基材。

【請求項7】

さらに以下の特徴のうちの1以上を有する、請求項1~2のいずれかに記載の使用、請求項3~4のいずれかに記載の方法、又は請求項5~6のいずれかに記載の修飾基材:

(1)前記VE-カドヘリン-Fc融合蛋白質に含まれるVE-カドヘリンが、hVE-カドヘリンであり、好ましくは、その配列が、SEQ ID NO:5に示される配列である。

(2)融合蛋白質に含まれるFcセグメントが、ヒトIgGのFcであり、好ましくは、ヒトIgG1のFcであり、好ましくは、その配列が、SEQ ID NO:4に示される配列である。

(3)前記幹細胞が、間葉系幹細胞、iPS細胞又は胚性幹細胞であり、好ましくは、哺乳動物由来、好ましくはヒト、ネズミ、ブタ由来である。

(4)内皮様細胞が、血管内皮細胞である。

(5)融合蛋白質が、基材に固定される。

【請求項8】

さらに以下の特徴のうちの1以上を有する、請求項2に記載の使用、請求項4に記載の方法、又は請求項6に記載の修飾基材:

(1)存在する場合、E-カドヘリン-Fc融合蛋白質に含まれるE-カドヘリンが、hE-カドヘリンであり、好ましくはSEQ ID NO:9に示される配列である。

(2)存在する場合、E-カドヘリン-Fc融合蛋白質と前記VE-カドヘリン-Fc融合蛋白質との割合は、3:1~1:3であり、好ましくは1:3、3:1又は1:1である。

(3)存在する場合、VEGF-Fc融合蛋白質に含まれVEGFが、ヒトVEGF165であり、好ましくは、その配列が、SEQ ID NO:81に示される配列である、

(4)融合蛋白質が、同一又は異なる基材に固定される。

【請求項9】

前記基材が、細胞培養プレート、細胞培養ディッシュ、ハイドロゲル、多孔質スキャホールド、フィルム、又はマイクロビーズからなる群から選ばれる、請求項5~6のいずれかに記載の修飾基材、又は請求項7~8のいずれかに記載の使用、方法、又は修飾基材。

【請求項10】

前記マイクロビーズがPLGAマイクロビーズである、請求項9に記載の使用、方法、又は修飾基材。

【請求項11】

前記マイクロビーズの粒子径が10-50μmである、請求項9又は10に記載の使用、方法、又は修飾基材。

【請求項12】

前記ハイドロゲルが、ヒアルロン酸ハイドロゲル、アクリルヒドラジン化ヒアルロン酸ハイドロゲル、PAMAMデンドリマー/チオール化ヒアルロン酸ハイドロゲルから選ばれ、前記フィルムが、ナノファイバーのフィルムである、請求項9に記載の使用、方法、又は修飾基材。

【請求項13】

前記多孔質スキャホールド、フィルム、又はマイクロビーズが、親水性又は疎水性である、請求項9に記載の使用、方法、又は修飾基材。

【請求項14】

前記多孔質スキャホールド、フィルム又はマイクロビーズが、親水性の多孔質スキャホールド、フィルム又はマイクロビーズである場合、融合蛋白質が、リンカーを介して前記多孔質スキャホールド、フィルム又はマイクロビーズに連接される、請求項13に記載の使用、方法、又は修飾基材。

【請求項15】

前記リンカーが、Fc-結合ペプチドである、請求項14に記載の使用、方法、又は修飾基材。

【請求項16】

前記Fc-結合ペプチドが、CHWRGWV(SEQ ID NO:93)、HYFKFD(SEQ ID NO:94)、HFRRHL(SEQ ID NO:95)、FYWHCLDE(SEQ ID NO:96)又はSpA(ブドウ球菌プロテインA)からなる群から選ばれる、請求項15に記載の使用、方法、又は修飾基材。

【技術分野】



【0001】

本発明は、細胞分化の分野に属し、特に、幹細胞から肝様細胞、内皮様細胞、膵島様細胞又は胆管上皮様細胞への分化誘導を促進する、上皮細胞カドヘリン(E-カドヘリン)-Fc融合蛋白質、及び/又は血管内皮細胞カドヘリン(VE-カドヘリン)-Fc融合蛋白質、及び/又は内皮細胞増殖因子(VEGF)-Fc融合蛋白質の新たな使用に関する。

【背景技術】



【0002】

哺乳動物の器官発生は、複数のシグナル伝達分子によって構築された微小環境の影響を受け、非常にダイナミックなプロセスである。近年、3次元幹細胞培養に基づくオルガノイド(organoid)技術は、in vitroで器官の形成·発生の全過程をシミュレートすることが期待されており、徐々に幹細胞技術と再生医学の新しい研究ホットスポットとなっている。煩雑な立体構造と機能を持つ肝臓は、人体中の最も重要な内分泌·外分泌器官の1つであり、その体内での発生過程は、多くの因子によって共同で制御されている。肝実質細胞(肝細胞)と肝非実質細胞(例えば、胆管上皮細胞、クッパー細胞、NK細胞)は、肝組織の構造と機能を構成する基本単位であり、その中で肝細胞と胆管上皮細胞は肝臓内の主な機能を担っており、様々なサイトカインの制御下で肝芽細胞から分化している。初期肝内皮細胞とその分泌因子TGFβは、肝発生時の肝芽細胞の分化運命(肝細胞や胆管上皮細胞への分化運命)を制御するだけでなく、初期肝発生時の肝内皮細胞の横中隔間充織への移動や肝芽の形成を促進することが報告されている。 したがって、in vitroでの肝オルガノイド形成誘導の過程において、幹細胞を血管内皮細胞や肝細胞/胆管上皮細胞に分化誘導させ、一定の構造と機能を有する肝細胞凝集体を形成するための自己組織化を正確に制御することが、本技術の主な技術的ボトルネックとなっている。

【0003】

細胞ソーティング(cell sorting out)は肝オルガノイドの形成の第一段階であり、細胞表面の接着分子(cell adhesion molecular)に関係している。カドヘリン(cadherin、本文で「Cad」と略記)は、細胞特異的な接着因子の1つであり、同種細胞の表面に同じサブタイプのカルシウムカドヘリンが相同的に結合することで細胞間接着結合(Adhesion Junction)を形成し、細胞の分化に影響を与える。また、カドヘリンは、胚発生における細胞認識、移動、組織分化、又は成体組織·器官の構成にも、大きな役割を果たしている。上皮細胞カドヘリン(E-cadherin)は、哺乳動物の発生過程の中で最先に発現したカドヘリンであり、胚性幹細胞分裂球の密着結合および上皮細胞の分化に対して重要な影響を与える。なお、血管内皮細胞カドヘリン(VE-cadherin)は、幹細胞/内皮前駆細胞の内皮細胞への分化及びその機能実現に重要な役割を果たしている。

【0004】

Fcセグメントに基づく複数種のカドヘリン融合蛋白質は、組織工学や再生医学の研究に応用されている。例えば、E-カドヘリン-Fc、N-カドヘリン-Fc等は、細胞外マトリクスの修飾成分の1つとして用い、細胞行為の制御への影響を研究している。内皮細胞間の接着接合の重要な構成要素である血管内皮細胞カドヘリン蛋白(VE-カドヘリン)は、新生血管化の過程で非常に重要な役割を果たしていることが研究により明らかにされている。

【0005】

南開大学の杜鳳儀、許可博士は、ヒト内皮細胞カドヘリン蛋白の細胞外ドメインと、イムノグロブリンIgGのFcドメインからなる融合蛋白質(hVE-cad-Fc)を生合成し、ポリスチレン培養プレート表面への固定化と血管内皮細胞の接着·増殖·遊走·分化機能の発現調節における生物学的活性を調査·最適化した(杜鳳儀、許可、博士学位論文、2011、2016年、南開大学)。

【0006】

しかしながら、これまでのところ、先行技術において、ヒト内皮細胞カドヘリン蛋白-Fc融合蛋白質による幹細胞の肝細胞への分化の促進についての報告はない。

【発明の概要】



【0007】

本発明は、上皮細胞カドヘリン-Fc融合蛋白質(例えば、ヒト上皮細胞カドヘリン-Fc融合蛋白質、hE-cad-Fcと略記)、血管内皮細胞カドヘリン-Fc融合蛋白質(例えば、ヒト血管内皮細胞カドヘリン-Fc融合蛋白質、hVE-cad-Fcと略記)と内皮細胞増殖因子融合蛋白質(例えば、ヒトVEGF165-Fc融合蛋白質、hVEGF-Fcと略記)を基材に固定し、幹細胞を基材表面に固定した融合蛋白質上で二次元的に培養し、或いは、表面に融合蛋白質を固定された基材を3次元的に幹細胞の凝集体の内部に導入し、細胞表面のカドヘリンと基材表面の同種タイプのカドヘリン-Fcとの結合によって、基材表面の幹細胞の接着、移動とソーティングを制御し、さらに、幹細胞の分泌機能を制御し、外来性の細胞分化因子との相乗効果により、生体の細胞外微小環境を生体工学的に構築し、幹細胞の分化を制御する。E-cad-Fc、VE-cad-FcとVEGF-Fcを同一又は異なる基材に固定することで、幹細胞から肝様細胞、内皮様細胞、膵島様細胞、胆管上皮様細胞への分化効率を向上させる。

【0008】

融合蛋白質は、分化誘導の全過程において、以下のような主な役割を果たしている。

1.基材材料表面に固定した異なるサブタイプのカドヘリン融合蛋白質は、幹細胞からの複数細胞の凝集体の形成を媒介し、カドヘリンサブタイプ依存性の細胞接着を可能にし、幹細胞による組織特異性の細胞外微小環境の構築を促進する。

2.また、対応する外因性サイトカインと協働して、内皮および上皮への幹細胞分化を方向的に誘導する。VE-cad-Fcは、内在、外来性のVEGFと協調して、幹細胞を内皮様細胞へ迅速に分化誘導するのを促進する。同時に、それらが分泌した細胞外マトリクス、サイトカインおよび内皮ニッチの形成によって、さらにE-cad-Fcと協調して幹細胞を上皮様細胞へ分化誘導する。E-cad-Fc、外来添加したサイトカインと内皮ニッチ及びその内在性TGFβの働きで、幹細胞の肝様細胞又は胆管上皮様細胞への分化をそれぞれ調節する。このプロセスは、主に融合タンパク質の種類と濃度の調節を介して、in vitroで肝臓の発生プロセスをよりよく生体工学的に模倣している。

3.分化過程で、E-cad-Fcは、幹細胞のEGF受容体のリン酸化を持続的に活性化させて、外来性のEGFの使用を代替する。VE-cad-Fcは、幹細胞のVEGFの発現を持続的に上向きに調節するだけではなく、幹細胞のVEGF受容体のリン酸化も効果的に活性化でき、幹細胞の内皮細胞への定向分化において外来性のVEGFの添加に対する依存性を減少させる。

【0009】

4.E-cad-Fcは幹細胞のHNF4αの発現を上向きに調節し、幹細胞のMET形質転換を促進し、幹細胞の肝様細胞への分化を促進する。

5.E-cad-Fcは幹細胞のβ-カテニン発現を抑制するだけでなく、細胞質内での局在性を高めることで、幹細胞の肝様細胞への分化を促進する。

6.E-cad-FcとVE-cad-Fcは、YAPタンパク質の発現及びそれが細胞内の分布を調節することで、幹細胞の内皮および上皮への定向分化を促進する。

7.E-cad-FcとVE-cad-Fcは、幹細胞の凝集体構造と機能の安定性を改善させ、生体内の細胞微小環境を模倣し、幹細胞の体外定向分化を促進する。

8.E-cad-FcとVE-cad-Fcは、幹細胞を複数細胞の凝集体に形成させ、幹細胞の定向分化を効率よく制御でき、分化効率を上げる。肝臓、胆、膵臓のオルガノイドの構築、及びそれらの再生医学、薬品の研究開発等の分野における使用について、新たな方案と技術を提供する。

【0010】

具体的に、本発明は、肝様細胞、内皮様細胞、胆管上皮様細胞、膵島様細胞の分化において、E-cad-Fc、VE-cad-FcとVFGF-Fcの使用に関する。

本発明の1つの態様は、細胞の中に存在するEGFRを活性化するための、E-cad-Fcの使用に係る。

本発明の1つの態様は、幹細胞から肝様細胞、膵様細胞又は胆管上皮様細胞への分化誘導を促進するための、E-cad-Fcの使用に係る。

本発明の1つの実施形態では、前記E-cad-Fcは、EGFの代わりに用いられる。

本発明の1つの実施形態では、前記E-cad-Fcは基材に固定される。

本発明の1つの態様は、幹細胞を内皮様細胞、肝様細胞、膵様細胞又は胆管上皮様細胞への分化誘導を促進するための、VE-cad-Fcの使用に係る。

本発明の1つの実施形態では、前記VE-cad-Fcが基材に固定される。

本発明の1つの実施形態では、前記VE-cad-FcはVEGF-Fcと併用する。

本発明の1つの実施形態では、前記VE-cad-Fcと前記VEGF-Fcが基材に固定され、好ましくは、同一又は異なる基材に固定される。

【0011】

本発明の1つの態様は、細胞を内皮様細胞、肝様細胞、膵様細胞又は胆管上皮様細胞への分化誘導を促進するための、E-cad-FcとVE-cad-Fcの使用に係る。

本発明の1つの実施形態では、前記E-cad-Fcと前記VE-cad-Fcとの比率が3:1~1:3であり、好ましくは1:3、3:1又は1:1である。

本発明の1つの実施形態では、前記VE-cad-FcはVEGF-Fc融合蛋白質と併用する。

本発明の1つの実施形態では、前記VE-cad-Fcと前記VEGF-Fc融合蛋白質が基材に固定され、好ましくは同一又は異なる基材に固定される。

本発明の1つの態様は、幹細胞をE-cad-Fc及び/又はVE-cad-Fcの存在下で培養することを特徴とする、肝様細胞、膵様細胞又は胆管上皮様細胞の製造方法に係る。

【0012】

本発明の1つの態様は、幹細胞をVE-cad-Fcの存在下で培養することを特徴とする、内皮様細胞の製造方法に係る。

本発明の1つの実施形態では、幹細胞を、VEGF-Fc融合蛋白質をさらに添加して培養する。

本発明の1つの実施形態では、前記E-cad-Fcと前記VE-cad-Fcが基材に固定され、好ましくは同一又は異なる基材に固定される。

本発明の1つの実施形態では、前記幹細胞は間葉系幹細胞、iPS細胞又は胚性幹細胞である。

本発明の1つの実施形態では、前記幹細胞は哺乳動物由来、好ましくはヒト、ネズミ、ブタ由来である。

本発明の1つの実施形態では、前記上皮細胞カドヘリンはヒト上皮細胞カドヘリンであり、好ましくはSEQ ID NO:9に示される配列である。

本発明の1つの実施形態では、前記血管内皮細胞カドヘリンはヒト血管内皮細胞カドヘリンであり、好ましくはその配列がSEQ ID NO:5に示される配列である。

本発明の1つの実施形態では、前記FcはヒトIgG(好ましくは、IgG1)のFcであり、好ましくはSEQ ID NO:4に示される配列である。

本発明の1つの実施形態では、前記血管内皮細胞増殖因子はヒトVEGF165であり、好ましくはVEGFの配列がSEQ ID NO:81である。

【0013】

本発明の1つの態様は、上皮細胞カドヘリン-Fc融合蛋白質、及び/又は血管内皮細胞カドヘリン-Fc融合蛋白質を含む、細胞培養のための修飾基材に係る。好ましくは、前記上皮細胞カドヘリンがヒト上皮細胞カドヘリンであり、好ましくはSEQ ID NO:9に示される配列であり、前記血管内皮細胞カドヘリンはヒト血管内皮細胞カドヘリンであり、好ましくはその配列がSEQ ID NO:5に示される配列である。

本発明の実施形態では、前記基材は、細胞から内皮様細胞、肝様細胞、膵様細胞又は胆管上皮様細胞への分化を促進するためのものである。好ましくは、前記幹細胞は間葉系幹細胞、iPS細胞又は胚性幹細胞であり、より好ましくは、前記幹細胞は哺乳動物由来、好ましくはヒト、ネズミ、ブタ由来である。

本発明の実施形態では、修飾基材が血管内皮細胞カドヘリン-Fc融合蛋白質を含む場合、さらにVEGF-Fc融合蛋白質を含み、好ましくは、前記VEGFはヒトVEGF165であり、より好ましくは、VEGFの配列がSEQ ID NO:81である。

【0014】

本発明のもう1つの態様は、細胞(好ましくは幹細胞、より好ましくは間葉系幹細胞、iPS細胞又は胚性幹細胞)の分化(好ましくは、内皮様細胞、肝様細胞、膵様細胞又は胆管上皮様細胞への分化)を促進するための、前記修飾基材の使用に係る。

本発明のもう1つの態様は、上皮細胞カドヘリン-Fc融合蛋白質、及び/又は血管内皮細胞カドヘリン-Fc融合蛋白質を基材と混合して、前記基材を修飾することを含む、修飾基材を調製する方法に係る。

本発明の実施形態では、前記基材は細胞から内皮様細胞、肝様細胞、膵様細胞又は胆管上皮様細胞への分化を促進するための基材である。好ましくは、前記幹細胞は間葉系幹細胞、iPS細胞又は胚性幹細胞であり、より好ましくは、前記幹細胞は哺乳動物由来、好ましくはヒト、ネズミ、ブタ由来である。

本発明の実施形態では、血管内皮細胞カドヘリン-Fc融合蛋白質を用いて基材を修飾する場合、さらにVEGF-Fc融合蛋白質を用いて前記基材を修飾する。好ましくは、前記VEGFはヒトVEGF165であり、より好ましくはVEGFの配列がSEQ ID NO:81である。

【0015】

本発明の上述したさまざまの実施形態では、前記基材は、細胞培養プレート、細胞培養ディッシュ、ハイドロゲル、多孔質スキャホールド(好ましくは、PLGAスキャホ-ルード又はPGLスキャホ-ルード)又はマイクロビーズからなる群から選ばれる。好ましくは、前記マイクロビーズの粒子径が10-50μm(好ましくは、15-30、15-20μm)であり、好ましくは疎水性マイクロビーズ又は親水性マイクロビーズであり、より好ましくは前記マイクロビーズがPLGAマイクロビーズであり、さらに好ましくは粒子径が10-50μm(好ましくは、15-30、15-20μm)のPLGAマイクロビーズである。あるいは、前記マイクロビーズはポリスチレンビーズであり、より好ましくは粒子径が10-50μm(好ましくは、15-30、15-20μm)のポリスチレンマイクロビーズである。

【0016】

本発明の上述したさまざまの実施形態では、前記多孔質スキャホールド、フィルム又はマイクロビーズは、親水性又は疎水性である。1つの実施形態では、前記多孔質スキャホールド、フィルム又はマイクロビーズは親水性の多孔質スキャホールド、フィルム又はマイクロビーズである場合、前記上皮細胞カドヘリン-Fc融合蛋白質又は前記血管内皮細胞カドヘリン-Fc融合蛋白質が、リンカー(好ましくは、Fc-結合ペプチド)を介して前記多孔質スキャホールド、フィルム又はマイクロビーズに連接される。好ましくは、前記Fc結合ペプチドは、CHWRGWV(SEQ ID NO:93)、HYFKFD(SEQ ID NO:94、REFERENCES 3、4参照)、HFRRHL(SEQ ID NO:95、REFERENCES 3、4参照)、FYWHCLDE(SEQ ID NO:96、REFERENCES 1、2参照)又はSpA(ブドウ球菌(staphylococcal)プロテインA 、REFERENCES 1、2参照)からなる群から選ばれる。

【0017】

本発明の前記したさまざまの実施形態では、好ましくは、前記ハイドロゲルが、ヒアルロン酸ハイドロゲルであり、より好ましくは、アクリルヒドラジン化ヒアルロン酸ハイドロゲル、又はPAMAMデンドリマー/チオール化ヒアルロン酸ハイドロゲルである。

本発明の実施形態では、前記アクリルヒドラジン化ヒアルロン酸ハイドロゲルは、アジピン酸ジヒドラジドとN-アクリルオキシスクシンイミドで、ヒアルロン酸を修飾して調製される。

【0018】

本発明の実施形態では、前記PAMAMデンドリマー/チオール化ヒアルロン酸ハイドロゲルは、PAMAMデンドリマーとチオール化ヒアルロン酸とのマイケル付加反応によって調製される。

【0019】

REFERENCES

1.Biomimetic design of affinity peptide ligands for human IgG based on protein A-IgG complex,Biochemical Engineering Journal,88(2014(1-11)。

2.FYWHCLDE-based affinity chromatography of IgG: Effect of ligand density and purifications of human IgG and monoclonal antibody, Journal of Chromatography A, 1355(2014)107-114。

3.Performance of hexamer peptide ligands for affinity purification of immunoglobulin G from commercial cell culture media,Journal of Chromatography A,1218(2011)1691-1700。

4.Purification of human immunoglobulin G via Fc-specific small peptide ligand affinity chromatography,Journal of Chromatography A 1216(2009)910-918。

【図面の簡単な説明】



【0020】

【図1】hVE-cad-Fcの構成の模式図とその同定。この中で、図1Aは、pcDNA 3.1-hVE-cad-Fcの構造を示す模式図である;図1Bは、精製したhVE-cad-FcのSDS-PAGEとWestern blotによる解析結果を示す。この中で、M:基準タンパク質;P:ヒトIgG(陽性対照、Sigmaカタログ番号、No.M15154);R:還元条件で精製したhVE-cad-Fc融合蛋白質;N:非還元条件で精製したhVE-cad-Fc融合蛋白質。

【図2】hE-cad-Fcの構成の模式図とその同定。この中で、図2Aは、hE-cad-Fc融合蛋白質発現ベクターの酵素消化による同定を示す。M:基準タンパク質;1:酵素消化したhE-cad-Fc融合蛋白質の遺伝子断片;2:酵素消化したhE-cadの細胞外ドメインの遺伝子断片;3:酵素消化したFc遺伝子断片;4:酵素消化なしのプラスミドベクター;図2BはhE-cad-Fc融合蛋白質のウエスタンブロット同定を示す。M:marker;1:還元態のヒトE-カドヘリン融合蛋白質;2:非還元態のヒトE-カドヘリン融合蛋白質。

【図3】コラーゲン溶液、hE-cad-Fc/hVE-cad-Fcの混合溶液により基材およびTCPS基材の表面をそれぞれ処理して、24時間培養した細胞の関連因子の遺伝子の発現。

【図4】コラーゲン溶液、hE-cad-Fc/hVE-cad-Fcの混合溶液により基材およびTCPS基材の表面をそれぞれ処理して、48時間培養した細胞の関連因子の遺伝子の発現。



【0021】

【図5】それぞれ、コラーゲン溶液、hE-cad-Fc溶液およびhVE-cad-Fc溶液により、基材を異なる時間で処理して、細胞を培養する場合、総EGF受容体とリン酸化EGF受容体リン酸化タンパク質の発現。

【図6】hE-cad-Fc溶液で処理した基材により、異なる濃度のEGFの存在下で細胞を培養する場合、総EGF受容体、リン酸化したEGF受容体、Oct4、CK18、CK19およびβ-アクチンの発現。

【図7】hVE-cad-Fc溶液と異なる濃度のhVEGF-Fc溶液で共処理した基材で細胞を培養する場合、総VEGFR2受容体、リン酸化VEGFR2受容体、Oct4、CD31、VE-カドヘリンおよびβ-アクチンの発現。

【図8】それぞれ、コラーゲン溶液、hE-cad-Fc溶液及びhE-cad-Fc/hVE-cad-Fc/hVEGF-Fcの混合溶液で処理した基材表面で、定向分化誘導された細胞の形態。

【図9】それぞれ、コラーゲン溶液、hE-cad-Fc溶液及びhE-cad-Fc/hVE-cad-Fc/hVEGF-Fcの混合溶液で処理した基材表面で、定向分化誘導された細胞のOct4、FoxA2およびSox17遺伝子の発現。

【図10】それぞれ、コラーゲン溶液、hE-cad-Fc溶液及びhE-cad-Fc/hVE-cad-Fc/hVEGF-Fcの混合溶液で処理した基材表面で、定向分化誘導された細胞のCK18、AFPおよびALB遺伝子の発現。



【0022】

【図11】それぞれ、コラーゲン溶液、hE-cad-Fc溶液及びhE-cad-Fc/hVE-cad-Fc/hVEGF-Fcの混合溶液で処理した基材表面で、定向分化誘導された細胞のOATPおよびMRP2遺伝子の発現。

【図12】それぞれ、コラーゲン溶液、hE-cad-Fc溶液及びhE-cad-Fc/hVE-cad-Fc/hVEGF-Fcの混合溶液で処理した基材表面で、定向分化誘導された細胞のG6Paseおよびα1-AT遺伝子の発現。

【図13】それぞれ、コラーゲン溶液、hE-cad-Fc溶液及びhE-cad-Fc/hVE-cad-Fc/hVEGF-Fcの混合溶液で処理した基材表面で、定向分化誘導された細胞のCD31、VE-カドヘリンおよびVEGFR2遺伝子の発現。

【図14】それぞれ、コラーゲン溶液、hE-cad-Fc溶液及びhE-cad-Fc/hVE-cad-Fc/hVEGF-Fcの混合溶液で処理した基材表面で、定向分化誘導された細胞のALB分泌およびUrea合成。

【図15】それぞれ、コラーゲン溶液、hE-cad-Fc溶液及びhE-cad-Fc/hVE-cad-Fc/hVEGF-Fcの混合溶液で処理した基材表面で、4週間定向分化誘導された細胞が発現したALBの免疫蛍光染色。



【0023】

【図16】それぞれ、コラーゲン溶液、hE-cad-Fc溶液及びhE-cad-Fc/hVE-cad-Fc/hVEGF-Fcの混合溶液で処理した基材表面で、定向分化誘導された細胞の関連タンパク質の発現。

【図17】それぞれ、コラーゲン溶液、hE-cad-Fc溶液及びhE-cad-Fc/hVE-cad-Fc/hVEGF-Fcの混合溶液で処理した基材表面で、定向分化誘導された細胞が分泌した関連因子の遺伝子の発現。

【図18】それぞれ、コラーゲン溶液、hE-cad-Fc、hVE-cad-Fcの混合溶液で基材又はTCPS基材表面を処理して、細胞を48時間培養した時に、細胞が発現したYAPタンパク質の免疫蛍光染色の結果。

【図19】それぞれ、コラーゲン溶液、hE-cad-Fc溶液及びhE-cad-Fc/hVE-cad-Fc/hVEGF-Fcの混合溶液で処理した基材表面で、定向分化誘導された細胞のMET形質転換に関連する遺伝子の発現。

【図20】hE-cad-Fc溶液、hVE-cad-Fc溶液とhVEGF-Fcの混合溶液の固定量、安定性とマイクロビーズの表面での分布。



【0024】

【図21】細胞とマイクロビーズの異なる配合比率で調製した細胞凝集体の形態。

【図22】細胞とマイクロビーズの異なる配合比率で調製した細胞凝集体が1週間定向分化誘導された時、関連遺伝子の発現。

【図23】コラーゲン溶液修飾マイクロビーズ、hE-cad-FcとhVE-cad-Fc/hVEGF-Fcの異なる配合比率で修飾マイクロビーズによって調製した細胞凝集体は、1週間分化誘導した時、関連遺伝子の発現。

【図24】コラーゲン溶液修飾マイクロビーズ、異なる配合比率のhE-cad-Fc修飾マイクロビーズとhVE-cad-Fc/hVEGF-Fc修飾マイクロビーズによって調製した幹細胞の凝集体は、1週間分化誘導した時、関連遺伝子の発現。

【図25】マイクロビーズを含まない細胞凝集体、コラーゲン溶液修飾マイクロビーズを含む細胞凝集体、hE-cad-Fc修飾マイクロビーズとhVE-cad-Fc/hVEGF-Fc修飾マイクロビーズとを含む細胞凝集体、及びhE-cad-Fc/hVE-cad-Fc/hVEGF-Fcの混合溶液で修飾されたマイクロビーズを含む幹細胞の凝集体が、4週間分化誘導された時、関連遺伝子の発現。



【0025】

【図26】マイクロビーズを含まない細胞凝集体、コラーゲン溶液修飾マイクロビーズを含む細胞凝集体、hE-cad-Fc修飾マイクロビーズとhVE-cad-Fc/hVEGF-Fc修飾マイクロビーズとを含む細胞凝集体、及びhE-cad-Fc/hVE-cad-Fc/hVEGF-Fcの混合溶液で修飾されたマイクロビーズを含む幹細胞の凝集体が、2週間分化誘導された時、細胞のALBとCD31の免疫蛍光染色。

【図27】ヒト臍静脈内皮細胞とhMSCとを含む細胞凝集体、hE-cad-Fc修飾マイクロビーズとhVE-cad-Fc/hVEGF-Fc修飾マイクロビーズとを含む幹細胞の凝集体、及びhE-cad-Fc/hVE-cad-Fc/hVEGF-Fcの混合溶液で修飾されたマイクロビーズを含む幹細胞の凝集体が、4週間分化誘導された時、関連遺伝子の発現状況とALBの分泌。

【図28】それぞれ、コラーゲン溶液、hE-cad-Fc溶液及びhE-cad-Fc/hVE-cad-Fc/hVEGF-Fcの混合溶液で処理した基材表面で、定向分化誘導された細胞のOct4、PDX-1、INS、MAFA、CPA1およびβ-アクチン遺伝子の発現。

【図29】マイクロビーズを含まない細胞凝集体、PLGAマイクロビーズを含む細胞凝集体、hVE-cad-Fc/hVEGF-Fc修飾マイクロビーズを含む細胞凝集体が、それぞれ1週間分化誘導された時、関連遺伝子と蛋白質の発現。この中で、図29Aは、1週間分化誘導した時、内皮細胞の関連するマーカー遺伝子と蛋白質の発現を示す。図29Bは、1週間分化誘導した期間の関連因子および間質遺伝子の発現を示す。

【図30】PAMAMデンドリマーを合成する経路の図と、hVE-cad-Fc融合蛋白質によるハイドロゲルの機能化修飾。この中で、図30Aは、PAMAMデンドリマーを合成する経路の図であり、図30Bは、三つの異なるPAMAMデンドリマーの核磁気共鳴の水素スペクトルの図であり、図30Cは、Fc-bp含有/非含有のハイドロゲルの中、14日間にわたってhVE-cad-Fc融合蛋白質の固定量のパーセンテージであり、図30Dは、異なる手段で修飾したハイドロゲルによって、HUVECとhMSCの接着と増殖を示す。



【0026】

【図31】ハイドロゲルの物理化学的特性の特性化。この中で、図31Aは、hVE-cad-Fc修飾前、後のハイドロゲルは、培地、ヒアルロニダーゼ、hMSC又はHUVEC上清において、それぞれの異なる時点の残量のパーセンテージを示す。図31Bは、hVE-cad-Fc修飾前、後のハイドロゲルの、PBSにおける膨潤性を示す。図31Cは、hVE-cad-Fc修飾前、後のハイドロゲルのレオメーター特性を示す。図31Dは、hVE-cad-Fc修飾前、後のハイドロゲルの外観特徴を示す。

【図32】hVE-cad-Fc機能化修飾ハイドロゲルによるHUVECの生存に対して影響の検討。この中で、図32Aは、異なる修飾ハイドロゲルでHUVECを3日間二次元的培養した時、光学顕微鏡にて観察した図である。図32Bは、HUVECが異なる修飾ハイドロゲルで3日間二次元的培養した時の生存死亡染色図である;図32Cは、HUVECを異なる修飾ハイドロゲルで二次元的4、24、48と72時間培養した時、CCK-8にて検出した接着、増殖を示す。図32Dは、HUVECが異なる修飾ハイドロゲルでの3日間二次元的培養した時の細胞の骨格染色を示す。図32Eは、HUVECが異なる修飾ハイドロゲルで1、3、5と7日間3次元的培養した時の接着、増殖を示す。図32Fは、HUVECが異なる修飾ハイドロゲルで7日間3次元的培養した時の生存死亡染色を示す。

【図33】hVE-cad-Fc融合蛋白質機能化修飾ハイドロゲルによるHUVECの血管機能化に対する影響。この中で、図33A、Bは、HUVECを異なる修飾ハイドロゲルでそれぞれ24、48、72時間培養した後、vWFとeNOSタンパク質の発現をウェスタンブロッティングにて検出した。図33Cは、HUVECを異なる修飾ハイドロゲルで4、24、48、72時間培養した後の一酸化窒素放出量である;図33Dは、HUVECを異なる修飾ハイドロゲルで72時間培養した後、レーザー共焦点顕微鏡にて低密度リポ蛋白に対する貪食を検出した。

【図34】クリヒドラジド化ヒアルロン酸の核磁気共鳴の水素スペクトルテストである。この中で、図34Aは、HAの核磁気共鳴の水素スペクトルであり、図34Bは、HA-ADHの核磁気共鳴の水素スペクトルであり、図34Cは、HA-ACの核磁気共鳴の水素スペクトルである。

【図35】融合蛋白質hVE-cad-Fcはハイドロゲルに固定されている1週間の、酵素結合イムノソルベントアッセイ試験を示す。



【0027】

【図36】ハイドロゲルのゲル化性、安定性と分解性についての、物理化学的特性の特性化。この中で、図36Aは、異なる架橋剤によるゲルの図である。図36Bは、異なる架橋度を有するハイドロゲルが、PBS溶液での安定性の解析、低架橋度を有するハイドロゲルについてのレオロジーの解析である。図36Cは、hVE-cad-Fcによる機能的に修飾された前、後のハイドロゲル(DTTによる架橋、MMPによる架橋)の膨潤性の検討である。

【図37】マイクロビーズを含まない細胞凝集体(mと記す)、コラーゲン溶液修飾マイクロビーズを含む細胞凝集体(mcpと記す)、hE-cad-Fc修飾マイクロビーズとhVE-cad-Fc/hVEGF-Fc修飾マイクロビーズとを含む細胞凝集体((mE+mVE/VEGF)pと記す)、及びhE-cad-Fc/hVE-cad-Fc/hVEGF-Fcの混合溶液で修飾されたマイクロビーズ(m(E/VE/VEGF)pと記す)を含む幹細胞の凝集体が、2週間分化誘導された時、細胞のCK18とCK19の免疫蛍光染色。

【図38】hE-cad-Fc修飾マイクロビーズとhVE-cad-Fc/hVEGF-Fc修飾マイクロビーズを含む細胞凝集体((mE+mVE/VEGF)pと記す)、及びhE-cad-Fc/hVE-cad-Fc/hVEGF-Fcの混合溶液で修飾されたマイクロビーズを含む複数の幹細胞の凝集体(m(E/VE/VEGF)pと記す)が、2週間分化誘導された時、細胞のCK19の免疫蛍光染色。

【図39】マイクロビーズを含まない細胞凝集体(mと記す)、コラーゲン溶液修飾マイクロビーズを含む細胞凝集体(mcpと記す)、hE-cad-Fc修飾マイクロビーズとhVE-cad-Fc/hVEGF-Fc修飾マイクロビーズを含む細胞凝集体((mE+mVE/VEGF)pと記す)、及びhE-cad-Fc/hVE-cad-Fc/hVEGF-Fcの混合溶液で修飾されたマイクロビーズを含む幹細胞の凝集体(m(E/VE/VEGF)pと記す)が、2週間分化誘導された時、細胞のアルブミンとCD31のフローサイトメトリーでの検出。

【図40】マイクロビーズを含まない細胞凝集体(mと記す)、コラーゲン溶液修飾マイクロビーズを含む細胞凝集体(mcpと記す)、hE-cad-Fc修飾マイクロビーズとhVE-cad-Fc/hVEGF-Fc修飾マイクロビーズを含む細胞凝集体((mE+mVE/VEGF)pと記す)、及びhE-cad-Fc/hVE-cad-Fc/hVEGF-Fcの混合溶液で修飾されたマイクロビーズを含む幹細胞の凝集体(m(E/VE/VEGF)pと記す)が、2週間分化誘導された時、細胞のPASとインドシアニングリーン染色の図。図40Aは、分化誘導した後の肝オルガノイドのPAS染色の図である;図40Bは、分化誘導した後の肝オルガノイドには、インドシアニングリーンの摂取と放出の図である。



【0028】

【図41】マイクロビーズを含まない細胞凝集体(mと記す)、コラーゲン溶液修飾マイクロビーズを含む細胞凝集体(mcpと記す)、hE-cad-Fc修飾マイクロビーズとhVE-cad-Fc/hVEGF-Fc修飾マイクロビーズを含む細胞凝集体((mE+mVE/VEGF)pと記す)、及びhE-cad-Fc/hVE-cad-Fc/hVEGF-Fcの混合溶液で修飾されたマイクロビーズを含む幹細胞の凝集体(m(E/VE/VEGF)pと記す)が、2週間分化誘導された時、細胞のMRP2の免疫蛍光染色図。

【図42】マイクロビーズを含まない細胞凝集体(mと記す)、コラーゲン溶液修飾マイクロビーズを含む細胞凝集体(mcpと記す)、hE-cad-Fc修飾マイクロビーズとhVE-cad-Fc/hVEGF-Fc修飾マイクロビーズを含む細胞凝集体((mE+mVE/VEGF)pと記す)、及びhE-cad-Fc/hVE-cad-Fc/hVEGF-Fcの混合溶液で修飾されたマイクロビーズを含む幹細胞の凝集体(m(E/VE/VEGF)pと記す)が、2週間分化誘導された時、細胞のCYP3A4の免疫蛍光染色図。

【図43】hE-cad-Fc/hVE-cad-Fc/hVEGF-Fcの混合溶液で修飾されたマイクロビーズによる肝オルガノイドの、モデルドラッグによる酸化ストレス損傷の評価。図43Aは、肝オルガノイドをアセトアミノフェンで処理した後の、ROSとミトコンドリアの染色の図である。図43Bは、肝オルガノイドをイソニコチン酸ヒドラジッドで処理した後の、ROSとミトコンドリアの染色図である。

【図44】hE-cad-Fcで修飾されたマイクロビーズとhVE-cad-Fc/hVEGF-Fcで修飾されたマイクロビーズを含むことによる肝オルガノイドに対して、モデルドラッグによる酸化ストレス損傷の評価。図43Aは、アセトアミノフェンにより肝オルガノイドを処理した後の、ROSとミトコンドリアの染色の図である。図44Bは、イソニコチン酸ヒドラジッドで肝オルガノイドを処理した後の、ROSとミトコンドリアの染色図である。

【図45】マイクロビーズを含まないマウス幹細胞凝集体、コラーゲン溶液修飾マイクロビーズを含むマウス幹細胞凝集体、hE-cad-Fc修飾マイクロビーズとhVE-cad-Fc/hVEGF-Fc修飾マイクロビーズとを含むマウス幹細胞凝集体、及びhE-cad-Fc/hVE-cad-Fc/hVEGF-Fcの混合溶液で修飾されたマイクロビーズを含むマウス幹細胞凝集体が、3週間分化誘導された時、関連遺伝子の発現。



【発明を実施するための形態】



【0029】

以下、実施例と図面を参照して本発明を詳細に説明する。一般当業者が理解できるように、以下の実施形態は例示を目的とするものであり、本発明を何らこれらに限定されるものと解釈されるべきではない。本発明の保護範囲は、後述する請求項により限定された。

【0030】

実施例1:ヒトhVE-cad-Fc融合蛋白質の構築と発現

杜鳳儀、博士論文、南開大学、2011年11月を参照。主な内容は以下の通りである。

【0031】

1.1 血管内皮細胞カドヘリンの細胞外ドメイン遺伝子VE-cadのクローニングと配列分析

UniProtデータベースに収載したヒトVE カドヘリンの蛋白配列と機能ドメインに基づいて、GenBankに収載した遺伝子(NCBI Reference Sequence:NM_001795.3)配列を参考して特異的なPCRプライマーを設計し、hVE カドヘリン蛋白の細胞外ドメイン(EC1-EC5)を増幅した。上流プライマー(P1):5′-CCGGATATCATGCAGAGGCTCATGATGCTCC-3′(SEQ ID NO:1)、EcoRV酵素消化サイトを組み込まれ(下線)、下流プライマー:(P2)5′-AAGCGGCCGCTCTGGGCGGCCATATC-3′(SEQ ID NO:2)、NotI酵素消化サイトを組み込まれた(下線)。プライマーの合成およびシークエンス解析は、Invitrogen Ltd.に委託して実施した。

【0032】

ヒト臍帯静脈内皮細胞(HUVEC、ScienCell会社、米国)の総mRNAの抽出:『分子クローニング実験ガイド』(第3版)の中の常法に従ってmRNAを抽出した。O.D値を測定して、RNAの純度と濃度を定量した。逆転写は、購入したBD会社のキットのTaqMan@MicroRNA Assaysにて作業を行い、次のような逆転写系を用いた:

【0033】



【表1】





【0034】

逆転写のプログラムは以下の通りである。

【0035】



【表2】





【0036】

HUVEC mRNAから逆転写したcDNAを鋳型として、VE-cadの遺伝子断片を増幅した。PCR反応系は以下の通りである。

【0037】



【表3】





【0038】

増幅の条件は:94℃で30s変性、60℃で30sアニーリング、72℃で30s伸長、計35サイクル、最後72℃で10分間伸長した。反応液に380μL ddH2Oを加えて、同体積のフェノール/クロロホルム/イソアミルアルコールで抽出を一回行い、1/10倍体積の3M NaAc(pH 5.0)、2倍体積の無水エタノールを加えて、-20℃で1h放置した。4℃、12000 rpmで10分間遠心分離し、DNA沈殿物は70%エタノールで洗浄を両回行い、真空乾燥した。沈殿物は適量のTEに溶解した。

【0039】

1.2 pcDNA 3.1-hVE-cad-Fc真核発現ベクターの構築

(1)EcoRV、NotI二重酵素消化で精製したPCR産物

酵素消化系は以下の通りである。

【0040】



【表4】





【0041】

37℃でオーバーナイト反応し、65℃で15分間に酵素を非働化し、反応液に350μL ddH2Oを加えて、さらに同体積のフェノール/クロロホルム/イソアミルアルコールで抽出を一回行い、1/10倍体積の3M NaAc(pH 5.0)、2倍体積の無水エタノールを加えて、-20℃で1h放置した。4℃、12000 rpmで10分間遠心分離し、DNA沈殿物は70%エタノールで洗浄を両回行い、真空乾燥した。沈殿物は10μL TEに溶解した。

【0042】

(2)pcDNA/3.1に対するEcoRVとNotI酵素消化:

pcDNA/3.1(サーモフィッシャーサイエンティフィック、米国、商品番号V79020)の二重酵素消化系(3×50μL)は以下の通りである。

【0043】



【表5】





【0044】

37℃でオーバーナイト反応した。酵素消化産物は、1%のアガロースゲルに電気泳動して分離した。目的断片をUVランプの下で切り取って、DNAアガロースゲル回収キット(TaKaRa、日本、商品番号9762)を用いて回収して、回収した断片は25μL ddH2Oに溶解した。

【0045】

(3)ベクターと目的断片とのライゲーション反応と形質転換反応

反応系は以下の通りである。

【0046】



【表6】





【0047】

16℃で16h反応した。その後、CaCl2でコンピテントセルBL21(DE3)に形質転換して、37℃で16~18hオーバーナイト培養した。形質転換細胞をピックアップし、プラスミドを少量抽出して検出した。

回収した目的遺伝子であるhVE-カドヘリンの細胞外ドメインと、Fc断片を持つベクターであるpcDNA 3.1とを、分別、37℃の恒温で二重酵素(EcoRVとNotI)消化した。電気泳動で回収して、回収した産物を混合し、T4 DNAリガーゼを触媒として16℃でオーバーナイトライゲーションした。ライゲーション産物は、E.coli DH5αコンピテントセルを形質転換して、アンピシリン(Amp+)を用いて耐性によるスクリーニングを行った。プラスミドは抽出した後、二重酵素消化で同定した。最初の同定で正しい組み換えプラスミドと認可されたものについて、DNA配列を分析された。構築した組み換えプラスミドは、pcDNA 3.1/hVE-cad-Fcと命名した(図1Aに示す)。シークエンス解析で配列の正確性を確認した。hVE-cad-Fc融合蛋白質配列はSEQ ID NO:3に示す。なお、Fcの配列はSEQ ID NO:4に示し、hVE-cadの配列はSEQ ID NO:5に示す。

【0048】

1.3 細胞のトランスフェクションとタンパク質の精製

pcDNA 3.1/hVE-cad-Fcで、293F細胞(中国科学院典型培養物寄託委員会細胞バンク)をトランスフェクションした。

免疫グロブリンのFcセグメントとrProtein Aとの特異的な結合により、GEヘルスケア会社のHitrap rProtein A FFカラムで、目的のタンパク質を精製した。

【0049】

1.4 ウエスタンブロット分析

精製したhVE-cad-Fc融合蛋白質は、10%SDS-PAGEで電気泳動して、PVDFフィルムに移行された。5%脱脂ミルクで2時間ブロックし、第一抗体であるウサギ抗ヒトVE-カドヘリンの細胞外ドメインモノクローナル抗体(RD、米国、1:400で希釈する)で、4℃で一晩インキュベートした。HRP標識ヒツジ抗ウサギ第二抗体(Abcam、米国、1:10000で希釈する)で室温1hインキュベートした。フィルムをTBSTで洗浄して、DAB試薬で露光させ、現像·定着させて分析した。Fcからなる二量体の検出を行う場合、ローディングバッファーには、βメルカプトエタノールを含まない。結果は図1Bに示す。

図1Bから分かるように、非還元条件の場合、約240 KDの位置に1つのバンドが見られ、還元条件の場合、約120 KDの位置に1つのバンドが見られた。これらの結果より、hVE-cad-Fc融合蛋白質は二量体として存在している示唆を与える。

【0050】

実施例2:ヒトhE-cad-Fc融合蛋白質の構築と発現

徐建斌、博士論文、南開大学、2013年12月を参照した。本実施例の主な内容は以下の通りである。

【0051】

2.1 上皮細胞カドヘリンの細胞外ドメイン遺伝子であるE-cadのクローニングと配列分析

UniProtデータベースに収載したヒトE カドヘリンの蛋白配列と機能ドメインに基づいて、GenBankに収載した遺伝子(NCBI Reference Sequence:NM 004360.3)配列を参考して、特異的なPCR プライマーを設計し、E カドヘリン蛋白の細胞外ドメインを増幅した。上流プライマー(P1):5’-CGCAAGCTTATGGGCCCTTG-GAGCCGCAGC-3’、SEQ ID NO:6;下流プライマー:(P2)5’-TTGCGGCCGCAGGCAGGAATTTGCAATCCTGC-3’、SEQ ID NO:7。プライマーの合成およびシークエンス解析は、Invitrogen Ltd.に委託して実施した。

【0052】

L-02(中国科学院典型的培養物寄託委員会細胞バンク)細胞の総mRNAの抽出:分子クローニング実験ガイド》(第3版)の中の常法に従ってmRNAを抽出した。O.D値を測定して、RNAの純度と濃度の定量を行う。逆転写は、購入したBD会社のキットのTaqMan@MicroRNA Assaysに従って操作を行った。逆転写系は以下の通りである。

【0053】



【表7】





【0054】

逆転写のプログラムは以下の通りである。

【0055】



【表8】





【0056】

L-02 mRNAから逆転写したcDNAを鋳型として、E-cadの遺伝子断片を増幅した。PCR反応系は以下の通りである。

【0057】



【表9】





【0058】

増幅の条件は:94℃で30s変性して、60℃で30sアニーリングして、72℃で30s伸長して、計35サイクルを行って、最後、72℃で10分間伸長した。反応液に380μL ddH2Oを加えて、同体積のフェノール/クロロホルム/イソアミルアルコールで抽出を一回行い、1/10倍体積の3M NaAc(pH 5.0)、2倍体積の無水エタノールを加えて、-20℃で1h放置した。4℃、12000rpmで10分間遠心分離し、DNA沈殿物は70%エタノールで洗浄を両回行い、真空乾燥した。沈殿物は適量のTEに溶解した。

【0059】

2.2 pcDNA 3.1-hE-cad-Fc真核発現ベクターの構築

(1)Hind III、NotI二重酵素消化で精製したPCR産物

酵素消化系は以下の通りである。

【0060】



【表10】





【0061】

37℃オーバーナイト反応し、65℃で15分間に酵素を非働化し、反応液に350μL ddH2O加えて、同体積のフェノール/クロロホルム/イソアミルアルコールで抽出を一回行い、1/10倍体積の3M NaAc(pH 5.0)、2倍体積の無水エタノールを加えて、-20℃で1h放置した。4℃、12000 rpmで10分間遠心分離し、DNA沈殿物は70%エタノールで洗浄を両回行い、真空乾燥した。沈殿物は10μL TEに溶解した。

【0062】

(2)pcDNA/3.1に対するHind IIIとNotI酵素消化

【0063】



【表11】





【0064】

37℃でオーバーナイト反応した。酵素消化産物は、1%のアガロースゲルで電気泳動して分離した。UVランプの下で目的断片を切り取って、DNAアガロースゲル回収キット(TaKaRa)を用いて回収して、回収した断片は25μL ddH2Oに溶解した。

【0065】

(3)ベクターと目的断片とのライゲーション反応、形質転換反応

反応系は以下の通りである。

【0066】



【表12】





【0067